物語を書くときに考えていること
雨宮いろり・浅木伊都
作品を書ききるまでのワークフロー
物語を書き始めて10年以上経ちますが、先般初めて新人賞を頂きました。
すごいね。すごいというのは才能とかそういうんじゃなくて、10年落ちてもまだ新人賞に応募し続けられた胆力の話です。心臓に毛が生えてる。
書き方は10年前からほとんどアップデートされておらず、色々なやり方を試してみても、なんとなくいつものやり方に戻ってきてしまいます。
とは言え10年間書き続けられたのは確かなので、今回は「一作品を書き上げるまでにどんな感じで書いているか」をまとめようと思います。
「一作品書き上げるにはどうしたらいいんだろう?」と悩まれている創作者の一助となれば幸いです。
① なんか着想する
なんかってなんだ
モチーフとか、映画のポスターみたいなワンショットとか、耳に残る言葉の連なりとか、そういうのから何か物語が生まれないかなとつつきまわします。
つつきまわして出てきたものをかけ合わせたりします。
ここで方向性(作品全体が明るいのか、せつない感じなのか等)とおおまかなラストシーンを決める。ただしラストシーンは大いに変わる可能性あり。
①で着想するネタは大体外部からのインプット物がメインなので「映画」「小説」「漫画」「動画」「ゲーム」は惜しみなく摂取するのがベターです。
遊んでるわけじゃないんです。インプットです。
② 着想したものをこねくりまわす
ネチョネチョこねる。ハンバーグみたいに。
例えば新人賞を頂いた「あやかし専門縁切り屋」は”舌切り雀”→”はさみ”→”恩返し”という一本ラインがあったのですが、そこにのんびり屋のヒロインを投入してこねくりまわすことで、ほんわかバディが生まれたかな~と思っています。パティじゃないよ。
ここで死んでいくモチーフやネタも多いですが、惜しみなく捨てましょう。
広がらないネタは書き始めても結局死産になるので。
③ 登場人物を決める
自分が「応援したいな」「好きだな」「推せるな」と思える人物像を主人公に据える。
そんでもってその主人公とは逆の性質を持つ人物を、準・主人公に据える。
この二人が決まった段階でストーリーを書き始めることも多いですが、大体は二人の関係性から補完的にキャラクターを決めて書いています。
別にメインが三人でも良いんだろうけど、私の鳥頭ではメイン二人がせいぜいです。いつか三人にチャレンジしてみたいところ。
メインの二人がどんな会話をするのか、どんな場所が好きでどんなものが好物で寝るときの姿勢はどんなか……と考えていくと「あ、このキャラはこういう過去あったのかも」というネタが出てくるので、メインの二人については時間をかけて考えています。
④ 書く……前に、オチを決める
キャラクターができてくると、どんな終わりを迎えさせたいのか、ある程度考えられると思います。そのオチを決める。
これは明確に、キャラクターの到達点が何であるのか、一文で説明できるようにしておくと後々楽。そこが作品のピリオド、オチ、読後感を左右する重要なポイントになるので。
⑤ 書く
四の五の言わずに書く。パソコンでもスマホでもとにかく書く。
言い訳をせずに書く。忙しいからな~とかじゃなくて、もう、書く。ごっそり一万字くらい削除することもあるけど、とにかく書く。惜しまずに。
私がよく陥る罠は、自分ではこの先の展開が分かっていて、メインキャラのビジュアルが固まっているがゆえの「描写不足」です。初めて読む人に対して不親切な仕上がりになってしまう。
⑥ 行き詰まる
プロットを書いていないので行き詰まります。絶対。
そういう時はキャラクター造形に戻って、もう一度ねちねちこねくりまわすと、なんとなく展開が見えてくる。
悩みながらも、とりあえず書き続けるとベター。無意識化で考えていたことが、タイピングしているうちにふっと出てきて、この要素で進めていこう! みたいなことがよくある。
⑦ 8割がた書ける
ここまで来たらあとはもうオチを書くだけだ!
しかしオチは慎重に書きましょう。書き抜けるみたいに急ぎ足になると、描写不足になるし、ラストの盛り上がりが気持ちあっさりめになってしまう。(自戒)
⑧ 書き終わる
最後の。をつけたら終わりだー!
⑨ 一週間寝かせる
インプットと称して遊びましょう。
⑩ 最初から読み直し、修正
設定の矛盾などもここで気づければいいけど、そうもいかないので、第三者に見てもらうか、記憶を失うくらい放置してから読み直せたらベスト。でもそうもいかない。
読み直しは3-5回程度にとどめないと、エンドレス修正の罠にかかるので注意。
新人賞の場合は締め切りがあるので、強制的に終わるから安心ですね!
以上です。
プロットを書くやり方もやってみたけれど、つまんなかったので、文章ベタ打ちの方法で進めています。ここは人によるんじゃないでしょうか。
こうして書いてみるとほんとうに行き当たりばったり、感覚的にやっていてB型として誇り高いですね。
物語を書くときに考えていること 雨宮いろり・浅木伊都 @uroku_M
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