第13話

大人になることはたいしたことじゃない。

辛さに対する耐性がそこそこついた程度の子供を大人という。


人によって過程の種類は違うけれど、考えや価値観はほとんど変わりようのないものだ。18歳になるまでにほとんどの人は人格形成が終わる。

だから思い出だけが本当の自分を知れる。

18歳以降と18歳までにある人生の密度のレベルは大気中にある二酸化炭素と窒素の割合のようだ。


僕が言いたいことが僕に対して言われていることは言うまでもない。


思い出が語り始める前に今の僕は人生との向き合い方を学び続けなければならない。


まず第一にいつ死んでも問題はないということだ。

親が、教師が、上司が、先輩が、後輩が、同級生が、どんな人間で、どんな言葉を使うのかはどうでもいいが、そいつらが死ぬか、僕が死ぬかの違いで世界は移ろってゆく。

誰が死んでも意味はないし、誰が死んでもおかしくないというのが、僕が生まれる前のこの世界の前提だ。


次に誰を殺しても問題はないということだ。

いや、語弊があるかもしれない。

僕が言いたいのは、僕が誰かを殺すわけではい。誰が誰を殺しても問題はないということだ。

要するに僕の関係のないことで起きることは僕には関係がないということだ。

当たり前だし、誰もが知っているし、やっていることだ。

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未定 @jyoukei

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