第12話
僕が彼女に対して思ったことは少しの勘違いや思い込みであっという間に壊れてしまうものがあるっていうことだ。
僕が言葉を用いたところで、それを表現することは出来ないだろうけれど。
ところで、あの空の下にはどんな人が住んでいて、どんなことが起こっているんだろう。
戦争だったらどこでも起こっていて、
でも愛撫はあまり見ない世の中だけど、それは僕がそういう場所にいるってことなんだろう。
あの街には生き死にの価値観が語れるものはごく僅かしか残っていないみたいだったけれど、僕は彼女の見た景色を経験できた。
彼女が思っていたことや言っていたことが僕の言葉のように感じたんだ。
彼女には彼女の価値観があって淡々とそれを感じられた。それが当然であるかのようにね。
赤ん坊の経験なんてぼやけた視界が共有されるだけで、思春期の子供達の記憶は黒や白、淡いオレンジ色や濃紺色、紫紺の線が散乱していた。パステルカラーや象牙色が占領していったのは大人になっていく過程の中だ。
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