第5話 星屑が降る夜


「もし願いが叶うなら、伊久は流れ星になんてお願いする?」


「お金持ちになりたい。お兄ちゃんは?」


「オレ?俺は……………」


決まってなかったんかい。

んーそうだなぁ、と頭を抱え出した兄を見上げると後ろに光るものが見えた。


「お兄ちゃん、ほし!星!!」


「うわ、本当だ!!!」


夜空にたくさんの流れ星が現れた。

流星群は止むことなくずっとずっと空を駆けていた。


でも確かニュースでは1時間に50ほど見えるって言っていた気がする。今、伊久の目に映っている流れ星は1時間どころか1分に50…いや100以上降っている。


「願いごとあった」


「え?」


伊久が星に目を奪われている間に兄が閃いたようだった。


「俺の願いは伊久を守ること。たとえ何があっても、どんな状況でもお前は必ず俺が守るよ」


「なにそれ〜、変なの」


適当に流したけれど、伊久の頭を撫でるその手が妙に優しくてくすぐったくて、ちょっとこそばゆかった。

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泡沫のキミ 吉祥 昊 @soi_03

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