#4―②

◇◆◇


そうかい爽快!)

 口ほどにもないていぞくなごろつき集団をいっそうすると、気分はスッキリした。

 生前、働き詰めでなまっていたことに加えて、『クレハ』の身体に入ってからはりょうようせいかつが続いていた。やはり適度な運動はめんえきりょくを高める。

(ん? 免疫力あんま関係ないか。まあいいや。さあ帰ろ帰ろ。暗くなると道順わからなくなりそうだし)

 汗ひと筋かくことなく、呉葉は大きく伸びをする。テオバルトは夕方に戻ると言っていたから、それまでには部屋で寝ているふりをしなければ……。

 ──と。

 そこでクレハは、こちらに向けて誰かが近づいてくる気配に気づいた。足元にはごろつきたちのるいるい──いちおう死んではいない──が転がっている。

(まずい。派手にさわぎすぎて、さすがに街の人に気づかれたのかな。……警察? っぽいものを呼んでもらうなら好都合にしても、なんて説明しよう……たまたま迷い込んだ先でぐうぜんみんな倒れていました、とか無理がある?)

 言い訳をしきりと考えながら振り向いた呉葉の目に飛び込んできたのは、──黒いしょうに身を包んだ、目をみはるほどに整った容姿の青年だった。

(うわイケメン!)

 わずかに毛先の跳ねた黒髪といい、ミントグリーンのこうさいあざやかなするどい目といい。テオバルトよりもかなりワイルド寄りで、なんだか放つ雰囲気にはやまねこのようなしなやかさがある。歳もたぶん若い。

(この世界に来てから、美形とのエンカウント率がじんじょうじゃないよね。いやー、みんな何食べてたらこんな顔になるのかしら)

 状況はさておき呉葉は感心する。

 こちらに歩み寄ってくる見知らぬ青年は、どこかぜんとしているようで。

「お前、誰だ……?」

 ほうれてもいるらしく、声がうわっている。

(そっか、私の見た目って今『クレハちゃん』だもんなあ……)

 この様子だと彼は、先ほどのいちじゅうを見ていたのだろうか。

 としもいかないお嬢様然とした娘が、いかついごろつき連中を難なく倒してしまったのだから、おどろかせても無理はないか……となっとくしかけた呉葉に、彼はけいかいするまなしを向けてくる。

「……いや、じゃなくて。えー……むしろ、俺が誰かはわかるか?」

「はい? いや名前聞いてないのにそれは無理でしょ。まず名乗ろうよ」

 思わずで突っ込んでしまった呉葉に、彼は心底ぎょっとしたように目を剝き。

 深々とため息をついて、額を押さえた。

「じゃあ名乗るけど。俺の名前はイザーク・ナジェド。聞き覚えは?」

「……いざーく……なじぇど……?」

 その響き、どこかで聞いたことがあるような──

『イザーク・ナジェドと言ってな、僕たちにとって最も気心の知れた相手だ』

「あ」

 思い出した瞬間。

 ざあっと顔から血の気が引いた。

(ク、クレハちゃんの知り合いの方だ──!!)

 そしてテオバルトともども親しくしている長年の友だと。

(え、どうしよう、どうそう!? そうだ私、今は記憶喪失って設定だったんだ! これを使ってなんとか……)

「毒のえいきょうで記憶喪失って話は聞いてる。けど、悪いが誤魔化されないからな。俺の知ってるクレハ嬢は、あんたみたいな話し方はしないし、そんな全身から覇気を放って大の男を五人も片手間にしたりもしないぜ」

「うっ」

 わるがよぎったところでせんせいされ、呉葉はたじろぐ。

「テオに『妹がゆくめいになった』って聞かされて、ずっと捜してたんだよ。クレハ嬢は相当病弱だから、少しでも発見がおくれたら命に関わりかねないからな。で、方々あたってようやく見つけたと思ったら、ごろつき集団相手に立派に殺陣たてを決めてるじゃないか。立つのも困難だった彼女が、だ。どう考えてもおかしいだろ。……もう一度くけどな。お前、誰だ? あの子じゃないよな」

 一気にたたみかけられてられ、呉葉はますますしん退たいきわまった。

(ううっ……まずい、これはまずい!)

 そもそも呉葉は、人をだましたりうそをついたりするのが絶望的に苦手なのだ。

 ああ本当にまずい、このままじゃいけない。

 どうしよう、どうしよう、とひたすらぐるぐる混乱した結果。

「ごめんなさい、これには深い深いワケが……!」

 ──何も思いつかなかった。

 あからさまにドン引きしながらジト目を向けてくるイザーク青年に、呉葉はいさぎよこうべれ、思いっきりぜんめんこうふくした。


◇◆◇


「え……じゃああんた、別世界から転生してきたってことか!? クレハ嬢の身体に!?」

「転生……? ええっと、なんだろ。そういうこと……になるのかな?」

 本名に、生まれ故郷の説明に、川でおぼれた子どもを助けようとして自分が死にかけ、このエーメ王国なる地にきたけいまで。

 一から十まで全部白状し、呉葉ははいの底までさらうようにはあっと深いため息をついた。

(つ、つかれた)

 話すこと自体に疲れたというより、まぎれもなく事実のはずなのに内容がこうとうけいすぎて「我ながら何言ってんだこいつ」と突っ込んでしまいそうになって、づかれした。

 しかし、てんまつの一連を聞かされたイザークの方は、当の呉葉以上にその話に納得してくれたらしい。さすがほうの世界の住民である。

 なお、テオバルトは妹が邸からだっそうしたことをすでに知っているらしく、取り乱しに取り乱したあげく、今もしゃかりきに捜し回っているらしい。「やだ、それじゃ早く戻らなきゃじゃないですか」とまたしても青ざめた呉葉だが、「そこは俺が上手うまく誤魔化しとくから、説明が先だ」とけわしい顔をしたイザークに引き止められてしまった。

 かくして、裏路地から表通りに戻ったのち、しょうしゃな高級カフェレストランらしき店に落ち着いて。あまつさえ個室を貸し切って、温かいお茶などごそうになりつつ、ゲロゲロと何もかも吐かされた次第だ。

 だが、疲れてはいるものの、今の心情はスッキリしている。なお、なんらかのハーブティーとおぼしきさわやかな香りのお茶はくせがなくてとてもおいしかったし、付け合わせに出てきたミックスベリーのタルトともよく合った。

 いちもんで邸を抜け出してずっと飲まず食わずだった呉葉が、ケーキを一つばくそくで平らげてからもからになった皿に名残なごりしげな熱視線を注いでいるのを見かねて、イザークは何も言わずに、追加でミートパイやサンドイッチなどの軽食を山盛り頼んでくれた。それにしても、さっきからやたらと腹が減る。

 きわきに「ごめん、私お金持ってないからどうしよう……」とじする呉葉に、あきれたように「はらわせるわけないから安心してくれ」などと言う。

(すごい。イケメンくん、中身もめちゃくちゃイケメンだ!)

 そして年下と思えないほどしっかりしている。呉葉はつい感心した。

 おまけに、くわしく聞けば彼は、ハイダラ帝国なる名の、エーメ王国周辺国の第二皇子様なのだという。「リアル皇子様なんて初めて見た」と呉葉はぎょうてんした。

 しかも今はエーメ王国に遊学中の身って、なんですかその特盛り設定。どこの少女小説ですか。よもやそのリアル皇子様と、個室で二人きりでお茶する機会がめぐってこようとは。

「上下左右もない不可思議な青い空間で、クレハ嬢自身に会って、身体と残りの人生をたくされた……?」

 さて。

 呉葉の話を聞き終えたイザークは、しいまゆをグッと寄せて口元に手を当て、何やら考え込んでいる。

 ポーズ的に察するに、なんぞのサスペンスに出てくるどこぞのめいたんていみたいな推理を、めくるめく展開しているのだろうか。「おお、いかにも頭が良さそうな人の仕草って感じ」などと、頭の悪そうな感想をいだく呉葉である。

(けど)

 見たこともないような深いミント色の眼差しを、じっとこちらにえているイザークを見つめ返し、呉葉はふと思う。

(単に頭が良さそうというより──むしろ、すごくしんちょうそうというか。ドライな性格っぽいなあ。こちらが得体の知れない異世界人ということもあるのだろうけど)

 真正の脳筋ばかでせきずいはんしゃにんげんの呉葉だが、その分野生のカンは鋭いというか、これでも人を見る目は割とある方だとしている。

 そして呉葉の目に映るイザークは、さっそくあたう限り正確に、呉葉のひととなりや気質をきわめんとしているようなのだ。現に彼は、『きゅうの女の子の人格が消え、なぞの別人女がその体に入り込んでいる』という、「えっと、もう少しどうようしてもいいんじゃない?」な場面にあって、至って冷静そのものである。

 さっきから、親切なイケメン皇子様とおしゃべりティータイムをしているというより、ゆうどうじんもんを受けているというか、警戒心の強い優美なけものを相手ににらいをしているがごとき、不可思議な感覚だった。

(まあ、訊かれたらなんでも答えるし、好きにさぐってみしてくれたらいいかな。隠すべきことなんて、全部話しちゃったし。私は私で行くだけよ)

 あれこれ先んじて気をんでも仕方ない。

 相手の考えや出方はこの際もう気にしないことに決め、呉葉は明るく切り出した。

「えーと。イザークくん、って呼んだらいいのかな?」

「……落ち着かないから呼び捨てで頼む」

「じゃあイザーク。いやー助かったわ。実は、いきなりやってきて右も左もわからないし、テオバルトお兄さんとか他の人たちをみんな騙してるみたいだしで、もーめちゃくちゃ心苦しかったの。話を聞いてくれてありがとうね!」

 ほがらかにお礼を言う呉葉に、イザークはだまんだあと、一度くちびるを引き結んでからうつむく。そうして、こんなことを尋ねてきた。

「念のため確認するが……テオは、あんたのことを知らないんだな?」

「うん、……まだ。というか、テオバルトお兄さん見てたら、とても言えないよ……」

「まあ、それで正解だろうな。あいつは何よりも妹が優先だから、あんたと中身がわったなんて知ったらそっとうじゃすまないだろうし」

 複雑そうな表情に、呉葉の口の中は思わずにがくなる。

「……ごめんなさい、クレハちゃんじゃなくて。でも、とりあえず本物の彼女が戻ってきてくれるまで、代理で身体を預かっとこうと思って」

 ポツポツと考えを話す呉葉に、顔を上げたイザークはいぶかしげな表情をする。

「本物のクレハ嬢が戻ってくるまで?」

「うん、ざんていてきにね。だからそれまでは見逃してほしいなぁ、なんて」

「……本物が戻ったら、あんたはどうするつもりなんだ?」

「そりゃまあ、私も元の世界に戻らなきゃ。帰れるかはわからないし、帰ったところで、死んじゃってるかもしれないんだけどね」

 迷いなく断言すると、彼はぎょっとしたように目をみはった。

「死んじゃってるかも、って。えらく簡単に言うが、いいのか? それであんたになんの見返りがある?」

「えっ、見返り!? らないよそんなの! そもそもクレハちゃんの身体でしょ。借りたものは返すの当たり前だし、借りてる間は大事にするのが道理ってもん。で、返す過程で私が死ぬのが前提なら、それはいやだとかごねてもしょうがなくない?」

 あっけらかんと返す呉葉に、イザークはなぜかせない様子で、食い下がってきた。

「だが、……あんたにあまりに不利だ。損ばかりで、なんの得もないじゃないか」

「損得なんてどうでもいいよ。自分が気持ちよく過ごしたかったら人にせいじつであれ、ってうちの父親のくちぐせだったの。私も同意見。もちろん生き返れるならそれに越したことないけどね」

 呉葉としてはごくつうのことを言ったつもりなのだが。

「損得はどうでもよくて、見返りは要らない……?」

 なぜかイザークがものすごく不思議なことを聞いたような、まるでみみみずどころか氷柱つららを突っ込まれたようなポカン顔をしているので、呉葉の方が動揺した。こちらとあちらとで、何かとんでもない文化の違いでも発見したのだろうか。

「コホン。……えーっと、とにかくそういうことだから。もっへんきゃくの時までまんしてもらえたらというか、ついでにテオバルトお兄さんにも黙っててもらえたら、なんて……」

 せきばらいひとつ。話をまとめがてら呉葉が「たはは」と頭を搔くと、イザークはなんともいえない表情をし、首を振ってこめかみを押さえた。とりあえず納得してもらったということにしておこう。

 ほっとする呉葉に、イザークは「で」と話を振った。

「いまだに信じがたくはあるが……あんたが来たのが別世界から、ってのが真実だとして。だったら、こっちの習慣やら世界情勢やらなんか、全然知らないんじゃないのか?」

「そう! そうなんだよ! それで今まさに困ってて! どういうくつか知らないけど、書き言葉と話し言葉は身についてるみたいで、どうにかなるんだけど……」

(ああ、……でも)

 勢い込んで話しながら、呉葉は思案してみる。

(そりゃあ、貴族ならではの習慣とか世界情勢も気になるけど。本当のところ、いちばん気になっているのは……クレハちゃんのこと)


こんですべきことのぎが足りなすぎて……」


 思わず、の本音が口をついて出てしまい。慌てて、呉葉は手で唇を押さえた。

「引き継ぎ?」

 首をかしげるイザークに、「ええっと……」と呉葉は頭を悩ませる。さて出会ったばかりの彼に、どう言ったものか。

(そもそもクレハちゃんは私の半分しか生きていない。こんなれい可愛かわいくて、お兄さんにも愛されてた女の子の体なんて、私が乗っ取ってていいわけないのよね)

 どうしたら、自分は元通り、彼女にこの身体を返せるのだろう。

 彼女に、何をしてあげたらいいのだろう。

 どうするのが、彼女のためになるのだろう。──正しいのだろう。

 本物のクレハ・メイベルに身体を返すまでの間、この世界でそもそも一体何をしたらいいかがわからない。

「本物のクレハちゃんは、私にどうしてほしかったんだろう……って不思議なのよ。クレハちゃんってすごく病弱だったっていうし、だからといって身体を託された私が同じように寝込むだけっていうのもなんか違う気がするし。かといってこの世界のイロハが全然わからないから、そもそも何をやったらいいのか謎すぎて!」

 そうだ。そうなのだ。いちばん引っかかっているのは、まさにそこだった。

 かんの言語化に成功して、呉葉は心持ちスッキリする。

 兄のテオバルトは「とにかく寝ていなさい」とばかり言うけれど、寝ているばかりでいいはずがない。

「とりあえずは記憶喪失だから、なんて言って一時的に誤魔化してるけど、それは自分自身にまで言い訳に使っちゃダメだと思うし。けど何かしようにも情報はあっとうてきに足りないし! そういうモヤモヤもあって、つい、外に出ちゃったというか……」

「なるほど。つい、な。あんたの『つい』で、公爵邸は今、上を下へのおおそうどうだぞ」

「本当にごめんなさい! お兄さんの心配はもっともだし、我ながらけいそつすぎた。何もしないでじっと寝てるの、心底しょうに合わなくって」

 転生前はをひいても「いっちょ走り込みして汗といっしょにウイルス流して治します!」というじんがいきょうの脳筋族だった呉葉にとっては、静養自体もはやごうもんに近いのだ。

 最後はしゃくめいまじりになってしまった。「言い訳ですね、ごめいわくをおかけしました」と塩をかけたキャベツのごとくしおれる呉葉に、イザークは黙って眼差しを注いでいたが。

「となると」

 ややあって、イザークは冷静にちの指摘をした。

「今日で騒ぎになったから、自分で情報を集めるのはますます難しくなると思うぞ。テオのかんの目だって、これからさらに厳しくなりかねないし」

「ですよね!」

(いきなり詰んだ)

 どうしようかなあ、と頭をかかえる呉葉に、追加でイザークは提案をくれる。

「そこで、だ。俺があんたの家庭教師になるってのはどう」

「えっ」

「文字は読めるって言ってたよな。これから、いってていさいでちょくちょくメイベル公爵邸に行くことにして、その、こっちのてきな知識を身につけられるようなしょせきわたすよ。なんきんじょうたいでも、『何もできない』からは少なくともだっしゅつできるだろ」

「ほんとに……いいの!?」

「いや、いいのか、っていうかさ。じゃないと困るんだろ? 俺も、妹の毒殺騒ぎで参っているテオに、これ以上の心労かけたくはないのはあんたと同じだ。要は、あんたがこの世界の常識を身につけるのは、俺にとっても利はあるってだけ」

「めちゃくちゃ助かる! イザークってちょういい人ね……!」

 とりあえず今後の見通しも立って、安心するとまたぞろおなかいてきた。今ならホールケーキどころかにわとりの丸焼きをまるみできる気さえする。プリンならバケツでしい。

 タイミングよく運ばれてきたパイやサンドイッチを「美味おいしい!」とぱくつく呉葉をじっと観察しながら、イザークはお茶しかかたむけていなかったが、ひと通り呉葉が食べ終わったのを見計らって、「ところで」と話を変えた。

「あんたの武術、すごかったな。ごろつきを秒殺したのを見たが、あんな動きは初めてだ。目で追えないほどなめらかで、水が流れるというか、木の葉が落ちるようというか」

「わ、ほんと? いやぁ、そこまでおっしゃっていただくほどのものでも……あるんだわこれが! 我ながら結構がんってきたえてきたし。うれしいな」

 められて思わずニコニコがおになる呉葉に、「そういえば……」と彼はみどりの視線を巡らせる。

「あんたも名前がクレハ、っていうんだよな。『クレハ・ナルカネ』? だっけ。……じゃ、今後は一応、俺もクレハ嬢って呼んだらいいかい?」

「あはは、嬢はやめてよ! あなたみたいないかにもな皇子様にそんな呼ばれかたされたら落ち着かないわ。私も呼び捨てなんだから、そっちも呼び捨てで構わないよ」

「わかった、じゃあクレハ。改めてよろしく。……って、それを言うならそっちこそ『いかにもなお嬢様』だろ。今の中身がそうでもないのは知ってるけど」

 納得しかねるように眉根を寄せるイザークに、一瞬面食らったあと。「違うよー!」と呉葉はカラカラ笑って手を振った。

「クレハちゃんと私はまるっきり別物だから! そもそも顔や身長どころかねんれいだって全然違うんだよ? 同じにあつかわれたら本物のクレハちゃんに申し訳なくなっちゃう」

「え……っと。そうなのか。……女性に対してこういう質問が失礼なのは重々承知している上で。もし問題なければ、実年齢をだな……尋ねても……?」

「二十九だけど」

「に……」

 聞いた答えを、イザークは復唱できずに黙った。

 思ったよりも上だったらしい。

(まあ、それもそうか。この子が二十歳だっていうんなら、私が大学生の時に小学生だもんなぁ、年齢)

 がくぜんとする相手にうんうんうなずいていた呉葉は、さんざんうろたえたあげくに「あー……その……先ほどまで敬意を払わずに申し訳ない……です……」と反応に困り続けているイザークに、「いやいや、口調も態度もそのままでお願い!」と頭を下げた。


 こうして。

 きょくせつて。異世界転生生活で初めて、呉葉は自分の正体を知る協力者を手に入れたのだった。



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この続きは、2021年10月15日発売のビーズログ文庫『薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 前世が筋肉喪女なので、皇子さまの求愛には気づけません!?』で!

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薄幸な公爵令嬢(病弱)に、残りの人生を託されまして 夕鷺かのう/ビーズログ文庫 @bslog

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