転生のすゝめ

かいこ

どこまでも白い部屋の中でノクはご飯を食べている。

「久しぶりのカレーだ」ノクの声。

「ここに来てから何回目？」パソコンが喋った。

「どうせコワは覚えてるでしょ。でも言わないで、なんか聞きたくないから」

「はーい」

今日も二人は転生先を探す。

「蚕かー。転生先としてはあまり人気がないよ。どうしてまた？」間抜けなコワの声。

「モフモフして可愛いって聞いたことがあるから」

「白くて、この部屋にもピッタリだね」

「転生先を決めれば、この部屋ともおさらばだけどね」

一人の人間が食器を洗いながら喋る。相手はパソコン。

「可愛くて羽で飛べるなんて最高じゃないか。幼虫の姿はあまり好きじゃないけど、成虫目指して頑張れるんじゃないかな」呑気なノクの声

「あ、よく見ると蚕のプロフィールに注意書きがあった」

「なになに？」

「成虫は、飛べない。食べれない。寿命な数日。だってさ」

「蚕は却下で」はっきりとしたノクの声。