転生のすゝめ

@ri_pi

みみず

どこまでも白い部屋の中で二つの間抜けな声が会話していた。




「さて、今日はだ」ノクの声。


「りょうかい」コワの声。


今日も二人は転生先を探す。




「ノク、どうしてまた、蚯蚓なんかが気になったのさ」


「不意に道路で干からびている蚯のかんぴんたんが浮かんだ」


「カンピンタン?何かの呪文?」


「わたしが住んでいた国の言葉。コワはパソコンなんだから自分で調べてみて」


「りょうかい」




一人の人間が白いベッドに座りながら白いパソコンを操作している。


人間はいくつかの数字とと書かれたカードをホルダーで提げている。


白いパソコンはと書かれたシールを正面から見て右上に貼っている。




「ノクは蚯蚓が好きなの?」


「好きな人には申し訳ないけど、写真を見るだけでも気絶するくらい苦手」


「ならどうして蚯蚓を候補に?」


「蚯蚓に転生すれば蚯蚓が好きになるかなと思った」


「・・・」




「まあ、いいや。蚯蚓だったらなんでもいいの?こんな見た目がいいとかない?」少し呆れたコワの声。


「どうせなら特別感のある蚯蚓がいい」


「それならなんてどう?」


「聞いたことないな。どんな蚯蚓?」


「青っぽくて大きめの蚯蚓だね。特別感を求めるノクにはピッタリだと思うよ」


「わかった。それでいこう」


「珍しい。久しぶりに転生の手続きまで進められる気がするよ」


「たまにはコワにも仕事をさせてあげないとね」




「それじゃ手続きに進もう。画面の手順にしたがって進んでね」久しぶりに手続きに進むことができ、興奮気味のコワの声


「はいはい」


「おっけー。それじゃ画面に検索ボックスが出るから転生先の入力をして」


「シーボルトミミズだったね。名前は少し気に入った。かも」


「おっけー。それじゃ画面にシーボルトミミズのプロフィールを出すから全部確認して、一番したの同意にチェックして」


「・・・」


「ノク?」


「・・・」






どこまでも白い部屋の中で二つの間抜けな声が会話していた。




「さて、今日は・・・」

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