青水

作者 野良ガエル

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★★★ Excellent!!!

高校生のころ、主人公倉橋はクラスメイトの福山から聖水を買います。これはおそらく聖水ではないだろうと思いながらも、高校生にとっては高額な1万円で。
しかしその後、倉橋は聖水の効果によって変化していきます。劇的でもなく刺激的でもないのですが。
しかし、なぜ?
神の有り難い力が備わっていないはずのそれに、いったいどんな力が?
その理由があまりにも濁り果てていて、私はなんだかものすごく納得しました。
いわゆる陰キャと言われる男性諸君(と私)なら、多分なんだかすごくよく理解できると思います。後半のパートも頷くことばかりで。

私が思うにこれは恋の物語です。
ただおそらくこれが小説でなければ恋の物語ではないでしょう。
言葉で説明せず映像だけでわからせることなんてできない感情の動きが、文章の中に込められているからです。(映像化したときに一人称フルナレーションでやると言うのならその限りではないですが)
映像化したら伝わらない、小説として読む意味のある小説でした。

そして、読後の独特な感覚は、この筆者ならではの味です。
良いと思ったら野良ガエルさんの他作品もお薦めいたします。

★★★ Excellent!!!

短編で文章も読みやすかった筈なのに、内容がアレ過ぎて途中本気で読むのが苦痛でした(笑)

しかし最後にはやはり素晴らしい余韻を与えてくれます。皆さん頑張って最後まで読んでください🙇‍♂️

この作者様は、鬱屈とした人間の精神を書くのが本当に上手だと思います。


さて、青水を飲みほした主人公はこの後人間的に成長するでしょうが、おそらくビンと布は捨てずにとっておくのでしょう。

きっと彼も、モノを捨てられない人間だと思うのでーー。

★★★ Excellent!!!

キーワードは「十年」。あらすじに書かれている通りに。

十年経つと、いろいろなことが起きます。本当にいろいろと。

読み終えたとき、そうなることもあるのかと思いますし、冒頭の描写の意味にも気づきます。

苦い現実は文字で追体験するもの。これが小説であって自分の現実でなくてよかった。そう思わせることも小説の魅力です。