第65話 くーる、きっと来るー!
「皆さん、ランチタイムで満たされたでしょうか?」
実行委員のアナウンスが、昼休憩の終わりを知らせた。
なんにも、満たされてねぇがな。
「次は、お待ちかねの、女子ダンスです!」
「うおおぉぉー!」
男子たちが喜びの雄叫びを上げた。
まぁ、そういう俺もちょい「うおおぉぉー!」だけどな。フェルデンの『キュム』が見れるんだから。
「いよいよですねっ」
ほら早速、小さくガッツポーズフェルデン、あざーっす。
「ん? ってーことは、お前らもキュム衣装を着るのか?」
ヲタ兄を見ると、
「ボクらが? まっさかー、ボクらはこのまま踊るよ」
ケラケラと笑った。
それはそれですげぇな。がっちりした軍服ちっくな衣装で踊れるなら。
「えー! お前らは着ないのかよー!」
クラスメイトの一人が声を上げた。その瞬間、寒気がした。……来る! 来るぞ! あれが!
「へぇー、先輩方は見たいんですか、ボクらのスカート姿」
「そ、そりゃあな」
「それであわよくば、パンチラしないかなと」
「ま、まぁな」
お前ら! もうやめとけ! 大昔のホラー映画のように来るぞ! くーる、きっと来るー!
「先輩方」
来た。
「Babyからやり直した方がいいんじゃないですか?」
全てが無な! 無オーラなヲタ兄! しかも“Baby”の発音がめっさきれい! よっ! さすがハイスペイケメン!
「
イケメンのする発言じゃないため、俺のセルフピー、ビーンズ自主規制音でお送りしています! あ、ちなみに! またもや発音のよい“
「なぁ、雅よ」
クラスメイトが話しかけてきた。
「何であいつ、ドス黒さも感じないのに、あんなに怖ぇんだ……?」
ガクブルが、いつぞやのPさんのようにカンストしている。
「それはだな、無、だからだ。何も感じないからだ」
「お前は何で平気なんだ……?」
「それはだな……」
ヲタ弟と、楽しそうに話しているフェルデンを見た。
「フェルデンを好きになり、フェルデンには変態女子がつきもので、免疫がついたからだ」
「免疫、くれ……」
「やらん」
この免疫は、フェルデンに振り向いてもらおうと、イケメン変態女子に負けまいと、奮闘してきた
だから、誰にも、死んでも、やらん。
顔を見せてよフェルデンさん〜鉄仮面を被っても最強最かわな転校生、と青春したいのに、彼女を愛するイケメン女子が邪魔してくる件〜 冥沈導 @michishirube
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