第2話 茜色した思い出へ

 夕焼けに殺されそうだ。遊園地跡の廃れた観覧車を見にきている。きっと次の世代が取り壊すだろう。でも残っていてほしい。いつなくなってもおかしくないから何度もきてしまう。自然の風でガラガラと回る。秋になって風が強い。空の国では科学力で風をおさえて暮らしている。それだっていつまでも限りなく続けられる訳じゃない。このおんぼろ観覧車のゴンドラがいつだか地上に落ちた。今までだって老朽化したものや、いろんなゴミを下に落としてきた。このゴンドラはゴミではない。地の人にとっても意味がある。次の戦争の火種になりかけた。それを俺含めた、かつての上層部が消した。


 ただ落下地点があの子が住む街じゃないことを祈るばかりだ。子どもの頃近所だった女の子。綺麗な青い瞳と変わらないハスキーボイス。よく通る声がパーティー会場を突き抜けた。


「責任者はどこ!?」


 責任者とは俺だ。エレベーターが完成し、この空の果てに遊園地や、華やかな街ができた頃。空と地の人はまだ別れていなかった。

彼女はオーバーオールに三つ編み、あの幼い面影と重なった。だが変わり果てた俺に彼女は全く気づかなかった。ドレスを着せ、メイクや髪もセットさせようとすると彼女は抵抗し、遊びにきたのではなく姉を探していると話した。セットしないと入れないと諭す。彼女の目当ては俺だと勝手に思っていた。俺はもう姉の居場所を知っていたが、綺麗になった彼女と一緒にパーティーを楽しんだ。

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