第4話 垢抜けた思惑へ

 私は垢抜けた格好にさせられてパーティーに連れていかれたの。


「またおばあちゃんの話はじまった。夢みたいに綺麗なところで。案内してくれる男の人がいたんでしょ?」


 そう、夢のような時間で、


「でも目が覚めたら、家のベッドで寝てた」


 夢だったのかしらね。


「その人はかっこよかったの?」


 かっこよくて、頭がよくてね、私のこと地の人だっていじめる人から守ってくれたの。


「え、空の人なの?」


 空の人だよ、私の目をじっと見てね。綺麗だって言ってくれた。


「おばあちゃんの目、綺麗な青色だもんね。空の人ってどんな顔してるの?目の色は?」


 知らないのかい?目の色は一緒なんだよ?当たり前さね、元は同じく地に住んでたんだから。私はドレスを着て、お化粧して髪もいじってもらってね。お酒も飲んで、ダンスもした。でも姉は、姉さんはもっとずっと綺麗だったの、何度も空にいってはどれだけすごいところかを私に教えてくれた。観覧車もあるのよって。


「おばあちゃん、お姉ちゃんいたんだね」


 姉さんはそのうち空の人になって帰ってこなくなった。だから私、姉を連れ戻しに来ました。どこにいるか教えてください!


「おばあちゃん?私、わからないよ?」


 あんたに、空の人にたぶらかされたのよ!


「あらら、面会時間終わりにしましょう。さあこっちで休みましょうね」


 雲の上空の果て、地と空をつなぐエレベーター。近くに住宅街もできた。楽園は幻となる。過激派は空側にも地の民にもいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る