なぞなぞ
@koButa87
第1話
「大丈夫ですかっ…………………………⁈」
………………遠くで聞こえるこの声、誰だろう。
「気分はどうですか、山上さん」
ぼやんとした視界。病院……?
「メガネどうぞ」
「……あ、ありがとうございます……」
メガネをかけ、周りを見るが病院ではない、、
しかも看護師さんでもなさそうなこの人は誰だろう。
「あの……ここは……?」
「気分はどうですか?気持ち悪くないですか?」
「……はい……それは大丈夫なんですが……」
グゥゥゥ――……
看護師さんではなさそうなこの人は、クスッと笑った。
「空腹を感じるって事はもう大丈夫そうですね。良かったです。適当に何か作りますから、起きて来れそうなら居間に来てください」
そう言ってニッコリ笑った。
……悪い人ではない。いや、むしろ良い人……
いや、ステキな人だ……。
枕元にあるスマホを見て、自分の記憶している最後の日から三日も誤差があった。
“何があったんや?”
鬼のような着信数とLINEやらメールが来ていた。
“どした?”
“どこにいるの?”
“なにかあった??”
会社のグループLINEを開き、やっと状況が把握出来た。
……うわぁ……お礼、言わな……
スリッパを履き、部屋を出た。
寝室と居間、脱衣所……間取りはウチと同じやな……
しかし、居間のドアを開けるとそこは別世界。
「起きれました?もうすぐ出来きますから。カウンターで食べます?ソファ座ります?」
「……カ、カウンターで……」
“どうぞ”と彼女は、料理している前にあるカウンターへ手を差し出した。
間取りは同じようだが、、、
業務用冷蔵庫に、業務用ガス台……
まるで個人レストランのようなキッチン。
「驚きました?私も内見でビックリしたんです。でも、このキッチンが気に入って、入居即決しちゃいました。」
ホンマ嬉しそうやなぁ……
初対面やけど、絶対良い人や……
「さぁ、どうぞー」
土鍋がドンと出てきた。
続いて、梅干し……昆布……壬生菜……椎茸の佃煮……帆立貝柱……他にも十種類以上小鉢が出てきた。
「召し上がれ〜あっ!熱いから気をつけてくださいね!」
そう言って土鍋のフタを開けると真っ白なお粥。
湯気でメガネが曇ってしまった。
「……いただきます……」
「いやいや、見えないでしょ」
彼女はフフと笑った。
曇ったメガネ越しに見える彼女。
“可愛い人やなぁ……”
僕が食べている間、彼女は今に至った経緯を話してくれた。
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