話しの構造はSFファンタジー風味の「サウンドオブミュージック」です。
問題を抱えた家庭にスーパー家政婦がやってきて、奮闘に果てに素晴らしく理想的な家族が築かれるという感動のドラマですね。
ただし、家族の抱えている問題が「引きこもり」「学校のいじめ」「移民問題と人種差別」「過労のストレスと暴走」だったりする所が実に現代的。日本にとっても他人事ではない課題が山盛りです。
引きこもりとは「人生に悲観し、社会への適合を諦めたもの」
それを解決するのに必要なのは何よりも良き話し相手である。
差別される者同士「だけ」がつるんでいても余計に煙たがれるだけ。
親だって完璧ではないのだから、一人で抱え込まず周りの話に耳を傾けるべき。
これらのメッセージは真理であり、我々が学ぶべきところは多々あるのではないでしょうか。
社会問題や差別を解消するのは個人の仕事ではありません。それは悪党を倒してなくなるような根っこの浅い問題ではないのです。
結局、行きつく先は家族や個人の幸せ。
社会が変わらないのであれば、変わるのはまず自分でなくはいけないのです。
そこに暮らす皆が幸せであるのならば、社会だって幸せに変わるはず。
華やかなメイドロボの働きは決して魔王を倒す勇者に劣るものではないのです。
家族ドラマが好きであれば是非!
異世界転移者、ハーフエルフ、ロボットのいる世界。
異世界転移者のケイスケ。
その元で働くロボットD2。メイドロボットです。
行動の一つ一つが微笑ましく、かわいいです。
高性能ロボでもあり、コミュニケーション特化型です。
対人類コミュニケーションの経験は、ロボットらしくトライアンドエラーを繰り返して成長していきます。
人と人の間とはまた違う恋愛模様が興味深いです。
決闘騒ぎもあります。
笑える要素もあります。
切ない話。
ケイスケさんの魔導バイクで乗り込む熱いエピソード。
ロボットと性愛についての深い話も。
などなど色んなエピソード満載です。
ロボットの歴史まで練ってあって、世界観つくりこまれてます。
細かいSF設定もいいです。
愛される家事代行ロボットになるD2の成長物語です。
素敵なメイドロボのお話でした!
異世界転生、パーティー追放もの、悪役令嬢もの、そんなテンプレはお腹いっぱいという方こそオススメの作品です。近未来的でありながら、わくわくするファンタジー要素もあります。なぜなら、本作の世界観は、魔法と異世界人によってもたらされた科学技術が融合したものですから。
主人公はメイドロボのD2。性能が高いことはもちろんのこと、熱意の高さやウィットに富んだ言動も素晴らしいです。そんな彼女が、スミス家の生活を心地良く変えていく過程に魅せられていきます。
穏やかに紡がれる家族の物語だけに留まらず、転移者に対する偏見についてもスポットライトを当てています。転移者の父を持つ子どもならではの悩みが描かれていて、とても新鮮な気持ちで読みました。
D2が愛されヒロインになるまで、あなたも温かく見守ってみませんか?
彼女の視点で描かれている本作は、人間などの生き物の目線ではなくロボットの目線で進んでいきます。
それを意識してか、地の文は丁寧口調でより細かい描写。
加えて所々に人間味のある感情的な行動が見て取れ、集中して読んでいると、彼女がロボットだと忘れてしまう時があります。
全体の文章を見ても、丁寧かつ静けさというべき雰囲気があり。
主人を思う淑やかなメイドロボの内心は、きっとこうなのだろうなと考えると、口元が緩んでしまうくらい綴られる文が綺麗です。
登場人物、文章ともに良好な「メイドロボの私が愛されヒロインになるまで」。
タイトル通り、彼女が愛されるその日まで。
このレビューを切っ掛けに、人間味あふれるメイドロボ――D2の物語を、一人でも楽しんでいただける事を願っております。