第6話 響き渡ると長月

 月街わね、月が大きく輝くと姿を現すとされる伝説の街よ。月の光をたっぷり浴びると門が開くって。


 伝説かよ。


 かぐや姫もそうじゃない。あながちほんとなんじゃないかって話題になってるのよ。月街の伝説は二つあって、竜宮城みたいに知らない場所に連れていかれる神隠し。おじいちゃんにはならないけどね。あとは月街から人が来る。


 それほんとなの?


 実は私、月街から来たの。


 し、信じないからね?


 信じなくてもいいよ、初めて言ったし。


 初めて言ったんだ、冗談でもなんでも嬉しい。だから私は誰にも言わなかったし、これからも言わない。来てくれたマミちゃんは一緒に別れを悲しんでくれた。あんたねえ、早く連絡しなさいよ。報連相は基本なのよ。私もマコトと話したかったわ。と声真似すると、まこっちゃん笑うんだよな。


 もっといろんな場所に行けばよかった。地球のきれいな場所を見せたら帰らないでいてくれたかな。



 響き渡る5時の鐘、夏は明るくて変な感じ。今はもう暗い。一日あっという間だった。とぼとぼと仕事帰り、歩いて家に向かう。台風が来るって。今日は月は見えない。それでもなくならずにそこにある。近くなるか遠くなるか、欠けたり満ちたりなんて好き勝手言っちゃって。まこっちゃんが微笑む。



「ルカ、ただいま」


「え、なんで」


「一年で上司も丸くなってた。ここにいていいって!」


 はじめてみる顔、更新!ぼろ泣きまこっちゃんが目の前にいる。確かにいる!


「おかえり!!」

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砂漠渡りと長月 新吉 @bottiti

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