誰もが教科書で読んだことがあるであろう『源氏物語』。あなたは、その作者の日記が残っていることをご存知だろうか? 『紫式部日記』。原文から、現代語訳してくれているのがこの「紫式部日記 舞夢訳」である。
古今東西、有名な作品をつくった作者の話というのは面白いものである。「へえ、こんな人があの物語を作っていたのか!」とわかる。日本文学の原点ともいえる『源氏物語』の作者なのだ、日記が面白くないわけがない。
たとえば、晴れの舞台用にと、藤原道長が「映える女房」を選んだ時のこと。(「第34話髪上げたる女房は、」)。
”若い女房達が「恥ずかしくて辛くてなりません」「大変なお役目を」などと言い出して、泣いてみたり嫌がって見たりする始末でした。
このような醜態は、縁起が悪い、そんなことまで感じてしまいました。”
舞夢訳はそう訳す。なんとも、紫式部の「チッ、晴れがましい舞台なんだからちゃんと仕事しろよ」と若い女房たちに舌打ちしている様子がわかる、ちょっと笑ってしまう場面だ。無料で読める『紫式部日記』、ぜひ読んでみては。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=三宅 香帆)