「星の姫」専属のたった一人の騎士、「星の騎士」
星の騎士は、名誉職であると同時に、ずっと側で星の姫を守るゆえ、妻帯しない事がほとんどである。
その関係がロマンチックです。
「星の姫」エレナと、「星の騎士」ヴァンは、お互いを大事に想い、心の奥底では惹かれあっているはず───。
でも、その関係は遅々として進まず、あくまでも、姫と騎士、です。
そんな二人に襲いかかる、苦難、艱難、「こんな運命たどるの、神様〜!!」という、驚きの展開。
いくつかの国、政治の陰謀や、生まれの秘密。神様の設定、どれも、きちっと考えられています。
登場人物が多いですが、どのキャラも、出てくる意味があります。
ただ、敵、味方、だけで割り切る事のできない人間ドラマ、そして、乳母の、「星の姫」エレナにかける愛情も、胸を打ちます。
はらはら、はらはら。ドラマチックな展開です。
そして最後は……。
満足の読後感です。
ロマンチックで、ドラマチック。
美しいファンタジー。
オススメですよ!
女神に仕え、有事にはその身を捧げる使命をもつ「星の姫」。神の力で強く結びつき、星の姫に常に付き従う「星の騎士」。
運命に翻弄され分かたれた彼らが選び進む道はどこにつながっていくのか――?
まずですね。この「星の姫」「星の騎士」という、運命で繋がるも彼ら自身の意思でもって強い絆を育んでいくふたり。この関係性が私の真芯をぐっさり突き刺してくるのです。くっ、尊いってこういうことか。
穏やかに過ごす序盤を思うと「ずっとこのままイチャイチャしてている姿を見せてくれ!」と叫びたくなるくらい、波乱に満ちた宿命が待ち受けているのです。恋愛ものでもありますが、序盤だって実はイチャイチャしているシーンなどほとんどありません。ピュアすぎる。くっ、そこもイイ。
この少年少女が、何故こんな仕打ちを受けなければならないのか?理不尽さに胸が痛む状況が続きます。そこは覚悟して頂かないとなりませんが、一度読み始めてしまえば「どうなっちゃうの!?」の連続で止められなくなるはずです。
命をかけて守りたいもの、守られなければならないもの。それぞれの葛藤を抱えて乗り越えようともがく彼らを、ぜひ見守ってみてください。
激重なストーリーが好きな方。本当にものすごくおすすめ!
幼き日に星の姫エレナと運命的に出会った少年ヴァン。彼女に選ばれし星の騎士となるところから物語が始まります。
時には餌付けされたり、時にはちょっと冒険して危険な目に遭ったりと、親分と子分みたいな二人の関係にはくすっと笑ってしまったり、純真で天真爛漫なエレナとヴァンのたしかな絆を築いていくところはとても微笑ましく感じました。
己の使命を全うすべく凜とした星の姫であろうとするエレナも、彼女の騎士として自ら過酷な道を選んだヴァンも神の意志とその運命に翻弄され続けますが、二人の物語を追っていくうちにページを捲る手が止まらなくなります。
作り込まれた世界観と精緻で美しい文章に魅了されるのはもちろんのこと、他の登場人物の背景も非常に丁寧であり一人ひとりのドラマを楽しませていただきました。
抗えない流れの中で彼らが最後に選んだのは己の宿命か、それとも愛か。
ぜひとも本編だけではなく、外伝の最後まで読み進めて頂きたい作品です。
星、岩、波の三神の伝承が伝えられる地での物語。星の女神に仕える姫エレナは、自らに付く騎士として少年ヴァンを拝命する。幼少期に出会いを果たした二人は仲睦まじい関係を築くが、年齢を重ねるにつれ、互いの内にある想いは友情以上のものへと転化していく。しかし、ヴァンが自らの出生の秘密を探るために王国を出たことを皮切りに二人の関係は分かたれ、非情な運命に翻弄されることになる……。
豊かな情景描写と星や波といったモチーフが幻想的な世界観を創り出し、読者を物語の世界へと誘ってくれる。だが、何よりも特筆すべきは登場人物の心理描写である。主役の二人は当然のこと、脇役から敵役に至るまで心情が濃密に描かれており、一人一人が確かな存在感を持って物語を牽引している。運命が試練を与えれば与えるほど、それを享受せざるを得なかった彼らの苦悩が浮き彫りになり、その悲愴さは何度読んでも胸を打たれる。
甘やかな恋愛模様や派手な戦闘描写などはなく、筆致はどこまでも静かであるが、それでも先を読み進めたいと思わずにはいられない。人間の悲哀が心に刺さる珠玉のファンタジー。
本当に美しい作品です。ファンタジーとして面白いのは言うまでもありません。
テーマとしては王道的な姫と騎士による物語ですが、視点をどちらか一方に寄せることなく、見事に両面から描かれています。
作者様によるとゲーム・オブ・スローンズを幼少の頃より読みふけっていたということで、まさに納得の展開です。
海外翻訳ファンタジーの妙味がここに見られます。特にハヤカワFT系が好きな人にははまること間違いなしです。
情景やキャラの心の動きが文章の中から読み取れ、素晴らしい作品に仕上がっています。
男女問わず楽しめるのも素敵だなと感じました。
是非とも皆さんもご一読ください。強く推薦します!
幼いある日のこと、秘密基地で出会ったのは星の姫と、のちの騎士となる者。二人が紡いだ絆は、やがて国を、世界を揺るがしてゆく。
…というあらすじから想像できるような甘い展開は、作者様が念押ししておられるように、あまり期待しない方がいいかもしれません。ただし、必ずしも運命に祝福されているとは言いにくい二人だからこそ、互いを認め合い、得がたい信頼で結ばれていることは疑いの余地がないと思われます。
第二幕終盤でついに明かされた出生の秘密を受け入れ、乗り越えてなお、二人の苦難は続きます。エレナさんは地位ゆえの重責に、ヴァンさんは長らく言及のあった「内なる怪物」に苛まれ、心までが離れてしまったとは思いたくないですが、しかし……。
簒奪王とは果たして、話の流れで出たあの方なのか? 星の姫を待ち受ける未来とは? 先の気になる展開を、ぜひ読み進めてください。