エピローグ
「いやー、すっかり遅くなっちゃったね」
「それはあなたがずっと触ってたから」
すっかり仲良くなった桜ちゃんと疲労困憊の明智二人で帰路につく。
「ねえ、あなたのその技術、一体どこで身につけたの?」
「『その技術』って、なあに?」
「うー、察してよ」
「ねえねえ、何のことかな? ボクわかんない」
「うううー」
悶え始める桜ちゃん。きっと、あたしがなんで性交渉の技術があるのか知りたいんだろうな。
「禁則事項ですっ」
でも言わない。自傷行為をあたしに晒してくれた桜ちゃんには申し訳ないけど、言ってしまって嫌われるのが怖い。
「でも、あたしは桜ちゃんのこと嫌ったりしないよ」
卑怯者だってのは分かってる。
「……あ」
そんな折、一枚の花弁が降ってきた。
「桜だ」
夜風に舞い、その小さな花びらがひらひらと踊る。
「きれいね」
桜ちゃんはそれをうっとりと眺め、明智は目を輝かせてそれを見た。
「ねえ」
長い髪を翻し、桜ちゃんがあたしを向いた。
「ありがとう」
その言葉がきっかけとなり、桜は一斉に、あたし達の視界を埋め尽くす。
「私のこと、追っかけてくれて、ありがとう。私、あなたに会えて、本当に良かった」
でも最後のアレはちょっと驚いたけどね、と桜ちゃんは恥ずかしそうに頬を搔く。
彼女のその、恥ずかしそうな微笑みが引き金となり、春に浮かれるあたしの心を撃つ。
Spring Trigger D.J.Soramin @iamyuki_t
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