エピローグ

エピローグ


 タクオは真夜中の国道を走っていた。

去年の夏も、こんなことあったっけ。結局、年に1回くらいしか、会えないよな。昔の友達って、こういうもんなんだろうな。大学を卒業して、それぞれ就職して社会に出ると、仕事に慣れたと思えば、結婚するヤツなんかもいて、子供ができて、家族、仕事、家族だよ。

 こんな真夜中に、この道を通るのは、もう最後かもしれない。たった1年で、変わるもんなんだな。

 そう言えば、去年は真夜中にありえない路線バスなんか走ってて、ケイタに相談したっけ。俺、ついに異世界通ってきたかも、とか言って。ケイタもなんか言ってたっけなあ。この春にさっさと独立しやがって。ぶっちゃけ、誘われると思ってました!すんません。

 後輩に誘われるの待つって、どうよ、俺。まあちょっとうまくいかない時期もあるよな。今年のほうが手ごたえあるし。その中でまた、いい出会いもあるだろう。


 トンネルを抜けて、うすぐらい街灯の山道をハイビームで進む。

 前方に、見覚えがあるような、大型の車両がみえてきた。




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山奥の村で、消えるバス 眠るミイラ @nemuru_miira

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