第11話 なつかしの村
タイスケは久しぶりにアシタカの村に来た。
3年前に土石流が流れて、だめになった田畑も、新しい堤防で見通しが良くなって、橋も頑丈なものになった。飛び地で、同じ買い手がつかずに、貸していた畑には、いまも葉の落ちた大きな銀杏の木が目印になっている。懐かしくて涙が出そうだ。アシタカの先輩から、あの山の工場に不審者が侵入して捕まったというニュースも教えてもらった。村にとっては大事件だっただろう。
妻が言うには、有名動画配信者のフォロワーが、不法侵入して怪異を暴くというようなコンテンツをまねして引き起こした事件らしい。そのカリスマ配信者の、カチンコチンコというような人がその前に、器物破損、道路交通法違反、文化財保護法違反、自然公園法違反などで動画配信者としての生命を失っていた。そのフォロワーの、ガチンコチンコ?とかいうような人が不法侵入者として捕らわれたようだ。
まあ、そんなに興味はない。カチンコの方は不法にいろいろな場所に人面を描いていて捕まったらしいが、よくわからない。タイスケの知らない世界だ。
村の食堂に、ニャルコがいるという。寄るか寄らないか、迷っている。
今日寄らなかったら、もう二度と行くことはないだろうな、とタイスケは思った。
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