一人称の語り口で始まる物語りは主人公の心情や考え方それぞれのキャラクターや登場人物の見方に物語の焦点が置かれているので面白かったです。直に語りかけられているようでとても引き込まれていきますしダイレクトに伝わってくるものがあります。こういった書き方もアリですね。
アンリ2世というと、とある予言と符合する死を遂げたフランス国王として有名である。その「アンリ」が戴冠式のために訪れる――ランスにて、年老いた女の思い出話から、この物語は始まる。女の語る「悦ばしき入城」とは何なのか、そして多情として知られるアンリ2世と女の関係は――短いながらも、緩急を交え、ヴァロワ朝フランスの情景を描き切った逸品です。