まさに奇なる出来事にぞわり

ー家は箱。
そこに人間が住んで意思とか願望とかを詰め込んで、何代にも何世帯にも何家族にも引き継がれていくー

この部分にはっとさせられました。
家なり土地なり、そこには幾年もに渡る人々の営みがあり、そこに留まる想いみたいなものが、現代に何かしらの影響を及ぼすこともありえないことではないと。殊に古からの歴史ある町が舞台ならなおさら。
どれも説明もつかない不思議な出来事で、読み終えた今現実と非現実の境にいるような気分です。

“わたし”の不思議な体験をもっともっと味わってみたいと感じる作品でした。
そしてどうか友人が「ごめん!忙しくて連絡し損ねたわ」とか言いながらまた私の前にふらりと現れてくれますように。

読んでいてなぜか静けさを感じる、シンプルなのに丁寧な文章で綴られるササクラさんの作品が大好きです。