第3話俺の高校に中学の知り合いが入学する...はずはない
俺は中学の時自分が大切だと思っていた友達彼女全員に裏切られた。
「隆明今日帰りどこ行く?」
「そーだな、久しぶりのオフだしどっか遊びにいこーぜ!」
「いいねー!ゲーセンでも寄っていくべ」
「俺も行っていい?」
「俺も!」
「いいよ!みんなで行こうか!」
「隆明はいいやつだなー!」
「そんな事ねぇーよ!みんなで行った方が楽しいしな!」
中学の頃は俺はとても多くの友達に囲まれていた。俺にとってはかけがえのない友達だった。そして、彼女もとても可愛い子だった。
「隆明くん、一緒に帰ろー!」
「いいよー、今着替えて準備するから校門で待ってて」
「うん、分かった!」
とても、幸せな毎日はずっと続くと思っていた。あの頃までは。ある日そこには信じられない光景を俺は見てしまった。
「隆明にバレないのか?こんな事して」
「あいつ私の事好きすぎだから気づかないって!それよりあんた達も大丈夫なの?あいつの友達でしょ?」
「大丈夫!隆明のやつ自分が中心で俺たちの事友達とか思ってるし」
「だよなー!俺らそんな事微塵も思ってないのに」
「それより、学校の教室で男3人とヤッて大丈夫?」
「いいじゃん、私もう我慢できないかも」
「なら、遠慮なくいただくか」
そこからは、しばらく俺はただ立ち尽くす事しかできなかった。友達とは彼女とはそもそも人という生き物に価値なんかあるのだろうか。まぁ、いいや。中学の間に気づく事ができてよかった。こいつらとは卒業までの付き合い。なら俺のすることはただ1つ。いつも通りの俺を演じるだけ。
その夜、俺の涙が止まることはなかった。
「…い。ーい。おーい。隆明ー」
「ん?何?」
「何じゃねぇーよ、前!」
「ん?」
「私の、しかも担任の授業で堂々と居眠りとはいいご身分だな金本」
「すみません、少し寝不足でして」
「ほう?それは、勉強でもしてたのか?」
「いえ、徹夜でゲームしてました」
「そうか。お前あとで職員室来い。あー、それと家には帰り遅くなると伝えといた方がいいぞ。長くなりそうだし」
「…うす」
なんで、今更あんな夢見てたんだろう。もう完璧に忘れていたと思っていたんだけどなー。まだ何か心残りでもあるのかな。
この夢を見た理由は次の日に分かる事となる。ちなみに、隆明が説教から解放されたのは夜の22時頃であった。
「よっ、隆明昨日の説教はどーだったよ」
「どーもこーも、家についたらもう23時過ぎてたよ。結局寝たの2時とかだし。おかげ今日も寝不足」
「うわー、それは災難だったなー。ちなみにあの人の説教はこの地区では有名なんだぜ」
「それ早く言えよ。知ってたら起きてたのに」
「ははは、すまんすまん!」
キーンコーンカーンコーン
「よーし、みんな席に着け」
「この学校の伝統でな、毎年他府県の学校の生徒を交換して授業を行う、交換転校生というシステムがある」
「そして、今日がちょうどその日でな。このクラスには愛知の高校から4人転校生が来ることになっている。少しの間だが仲良くするように」
「よーし、お前ら入ってきていいぞ」
「失礼しまーす」
「僕達愛知県の星章高校から来ました。みなさんよろしくお願いします!」
パチパチパチ。クラス中転校生に拍手が送られる中、俺だけはただ1人鳥肌と冷や汗が止まらなかった。あいつらは、中学の時のやつらだった。
「おい隆明!あの子可愛くね?」
「ん、あ、あぁ。そーだな」
「よし、とりあえず4人自己紹介してくれ」
「はい、まず僕から。僕は小野 紳助(おの しんすけ)です!みなさん短い間ですがよろしくお願いします」
「俺は荒木 大(あらき だい)よろしく!」
「亀井 光太郎(かめい こうたろう)です。よろしくお願いします」
「私は佐野 あき。よろしくね!」
「僕達全員バスケ部に所属していて、中学からの仲なのでみなさん、気軽に話しかけて来てください!少しの間ですがいい経験になればと思っています。よろしくお願いします!」
「よし、HRは以上だ。授業の準備しておけよ」
パチパチパチ。頼む、拍手をすぐに辞めてくれ。今の俺には雑音にしか聞こえない。早く早く終わってくれ。
「隆明どうした?」
「いや、なんでもない。俺帰るわ」
「は?まだ、授業すら始まってないんだぞ?」
「先生には言っといてくれ」
プルルプルル。
「?」
「(すまん。しばらく部活休む。)」
「(理由を聞いてもいいですか?)」
「(部活参加する時にまたいう)」
「(分かりました。いつ頃まででしょう?)」
「(交換転校生が終わるまで)」
「それでこの時間に何してるんですか?」
「お前いつから後にいた」
「金本さんが教室からカバン持って校門出るところを見かけたので追いかけてきました。」
「なら、メールじゃなく声かけろよ」
こいつといると、本当に調子狂うな。けど、俺にとっては今はこいつの相手するのがとても心地よい。
「それで、何があったんですか?」
「悪い、その話はまた今度するわ」
「分かりました。」
「では、今から私とデートしませんか?」
「なんで、そーなる」
「行きませんか?」
「別に暇だしいいけど」
こんな可愛い子とのデートはさぞかし、幸せな事だろう。家にいたらあいつらのことを考えるだろうし、考えなくていいのはありがたい。
そう思っていた時期が俺にもありました。
正直デートはとても楽しかった。楽しすぎて気づけばもう夕方になっていたのだ。
夕方。つまり、学校は終わりみんな帰り出している時間。この日俺は呪われていると思っていた。
「久しぶりだな、隆明!お前が茨城の高校行くから寂しかったんだぞ!」
「そうだよ、急に別れよとか言われてとても辛かったんだから」
「また、みんなで仲良くしようぜ!」
「てか、なにその子。ちょー可愛いじゃん!隆明の彼女?それなら、その子も一緒に遊ぼーぜ」
「別にこいつは彼女じゃないよ。それに悪い。俺もう家に帰らないといけねぇーから。またな。」
「つれねぇーな、なら君一緒に俺らと遊ばない?」
「すみません、せっかくのお誘いですが塾があるので」
「残念。じゃぁ、また今度遊ぼーよ!隆明も!じゃーな!」
「あぁ。」
正直こいつだけには、会わしたくなかった。俺の昔の知り合いがこんなクズどもだと、何されるか分かったもんじゃない。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。あと。あいつらとはあまり関わるな」
「どうしですか?とてもいい人達に見えましたが」
「理由は俺があいつらと中学一緒ってだけで納得するだろ」
「分かりました、気をつけます」
「あぁ。今日はありがとな。塾頑張れよ。じゃぁ」
「はい、また」
俺は冬月と目を合わせることができなかった。そして、次の日からあいつらはなぜか、毎日俺の家に来たのだった。
俺はリアルに充実した学園生活を送れる...はず。 @kiryu0125
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