復讐の満月

 仄暗い地下の空間で、ソヨカゼはウサギやフクロウやキツネなど、多種多様な生き物達と一緒に月の帰還を待っていた。


 (待っていろよ…)


 そして、十五ヶ月後、時は満ちたのである。

 

 エイヤ

 ホイサ

 ピョンサ

 ピョン


 満月のもと、動物達は大きな掛け声を上げる。


 ふわっとした武蔵野の満月に、梯子を掛けたのです。


 長い長い梯子でした。

 

 ソヨカゼは梯子を登って行きました。

 

 山を越え、空を越え、月に辿り着くと、目の前にとても綺麗なお姫様が現れたのです。

 

 転瞬、ソヨカゼは「ふふっ」と微笑むと、お姫様の心臓をナイフで一気につらぬきました。

 

 「これで、だれも居なくなったなぁ」


 地球を眺め呟くと。


 武蔵野に吹く風が、月光に輝く探索棒をひそやかに揺らしたのでした。

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クズには孤独がよく似合う 満梛 平太老 @churyuho

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