第7話  二日目はロリ系美少女とデート? 

「おはようございます、深山みやま先輩……。そのぉ、えっと……」

「おはよー。緊張しなくてもいいから気楽に行こ」

「はいっ……」


 二日目は新入部員の明雪あけゆきさんとデート。

 ロリータ姿の明雪さんは身長が低く高校生ながら中学生のような見た目なので妹のよう。俺にも二つ下の妹がいるのだがちょっと生意気な性格なので明雪さんのことを見習ってほしいものだ。


「明雪さんって下の名前はなんて言うの? ごめん、まだ聞いてなくて」

「結ぶの結に愛と書いて結愛ゆめって言います」

「可愛い名前だね」

「へっ!? あっ……」


 明雪さんは手をパタパタさせ顔を仰ぐ。

 まだデートというのが恥ずかしいのだろうか。俺はなるべく話が途切れないように脳をフル回転させる。


「じゃあさ、今日は結愛って呼んでもいい?」

「あ、はい! よろしくです!」

「うん。じゃあこれから何処行こうか?」

「私あそこにあるカフェに行きたいです……」

「うん、いいよ。……えっ?」


 結愛が指さした方に顔を向けるとそこは、昨日灯李先輩と一緒に訪れたカフェ。

 でも結愛はカフェに凄く行きたそうな様子なので俺はそれを尊重してあげたい。

 仕方なく俺は結愛を連れてカフェの方へと歩き出した。

 入り口扉の前まで来ると『カフェ。ウワキン』と書かれた看板が立てられている。

 この看板を見るのも二回目だな……。

 なぜ『カフェ。ウワキン』という店にしたのか少し気になるところ。


 チャリン、チャリン


「いらっしゃいませーぇ?」


 カフェに入ると女性店員さんが少し驚いた様子でこちらを見てくる。

 店員さんが驚くのも無理はない。

 昨日は『スタイルのいいお姉さん系女子』と訪れた男が、今日は『ロリ妹系女子』と訪れたからであろう。

 昨日と同じように窓側の外の景色が一望できるテーブル席に座りメニュー表を手に取る。結愛は店内をキョロキョロしながら少し興奮している様子。

 もしもこの子が俺の妹なら全力で可愛がるだろうなぁ。

 俺は昨日と同じようにカフェオレ、結愛はパンケーキとココアを頼んだ。


「先輩はここ来たことあるんですか?」

「うん。灯李先輩と一度だけ」


 あえて昨日来たということは言わない。

 同じ店に他の女の子を連れてくるなんて……レンタル彼氏かよ俺。


「先輩と灯李先輩は仲がいいですね」

「でも変態だからなぁー」

「先輩は好きじゃないんですか?」

「うーん。好きの形が少し違うんだよなぁー」


 結愛はクスっと笑ってから水を飲んだ。

 席に座り少し話したところで注文したものきて、早速結愛はパンケーキをかじって咀嚼する。

 その姿はまるで小さなリスみたいでむちゃくちゃ可愛い。


「結愛……。俺の妹にならないか!!」

「無理です」

「うん、冗談だから」


 冗談だと言いながらも即答は流石に心が痛い!


 それから少しの間だったけど、結愛とは結構楽しく話せた。

 彼女といると気を使わなくてもいいし良い意味で気が楽になるように感じた。

 いっそ妹にしたいくらいにだ。


 結愛がパンケーキを食べ終えココアをゆっくり飲み干したので、二人は席を立った。デートなので勿論俺の奢り。

 会計へ向かうと、昨日の髭が良く似合うおじさんに遭遇する。

 代金を支払ってそそくさと退散しようとすると、


「おい、少年。浮気はやめた方がいい。それともレンタルなのか!? ハーレムめっ……」

「ち、違います! い、妹的なポディションの子です!」


 おじさんの気迫に圧倒されながらも押し切って結愛を連れてカフェを出た。

 多分この店には遠分女の子を連れて行けないだろう。連れて行くこともないだろうけど。

 店を出ると少し離れたところから結愛が『こっち来て』と手招きをしてくる。

 俺は小走りで結愛のところまで行き、結愛の目線の先を見るとゲームセンターがあった。


「ゲームセンター?」

「はい! 私、あまりこういう場所に行ったことがないので……。先輩となら行ける気がします」


 俺もゲーセンは最近行ってなかった。

 中学の時は親友の寛人ひろとと毎日のようにフィギュア取りに通っていたけど、高校生になると部活も忙しいし寛人の都合も合わない。

 だからこういう機会に行けるのはラッキーなのかもしれない。

 それにこんな可愛い子が行きたいと行っているのだから着いて行くに決まっている。





           ◆





「うっわぁー。人多いね」

「そうですね。あ!先輩私あれやってみたいです!!」

「ん?」


 結愛の視線の先には、俺の人生において一度も触れられてこなかったプリクラの領域が見える。


「結愛、俺プリクラやったことないんだぁ」

「……ん。だめ?」

「いや!駄目じゃない!!!」


 こんな可愛い子に頼まれてしまったら断るわけにもいかない。


 プリ機の中へ入って行くとそこは俺にとって未知の領域。

 キラキラしていてリア充の匂いがプンプンする。


『まずは顔横ピース!』


「へっ!!??」


 カシャッ!!


 ゲームセンターで数時間程遊んで建物の外に出ると、周りが暗くなってきていることに気づく。その後、財布のポケットの中を覗いて絶望する俺に小さな美少女が肩をポンポンと叩いた。


「快斗先輩クレーンゲーム上手でしたね!!カッコよかったです!」

「あ、ありがとぉー」


 今日は思ったよりも調子が良かった。

 本当だったら最近ハマってるアニメキャラのフィギュアとかも取りたいけど流石に女の子とデートで来ているのでそれは難しい。

 取れたのはお菓子やクッションだけだったけど結愛が楽しそうなので、俺はそれで十分満足ができた。


「私は二つしか取れなかったですけど、とっても楽しかったです」

「じゃあ、俺の全部あげるよ」

「えっ!? 駄目です! 先輩のお金で取ったものですし……」

「いいよ。お金はなくなったけど、俺は思い出が沢山できたしさ!」


 すると突然、手のひらに温もりを感じた。

 それは俺の手を結愛が握っているからだということ。


「結愛さん!? 何してっ!……」

「先輩。私、先輩のこと好きになっちゃったかもしれません」

「へっ?」

「私、古賀さんや部長にも負けないように頑張りますね!」

「どういう意味!?」


 そう言うと結愛は手を離して走り去って行った。

 いつも静かで穏やかな女の子が突然の告白? してくるなんて……。

 でもあんなに小さな子……。付き合った時には背徳感が凄すぎる。


【今日の考察】


 ロリで物静かな美少女は穏やかな一面、案外積極的な後輩だった。

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【悲報】美人な先輩とその妹が可愛いけど変態すぎる件 星海ほたる @Mi510bunn

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