第2話 マーメイドがいるカフェ

 桃子はカフェにいるのに寛ぐどころか、苛立っていた。となりの席で、下世話な話で盛り上がる男子高校生3人組に対してだ。

 

 土曜日の昼過ぎなのでお店は混雑していたが、運良く桃子はフカフカのソファ席に座ることができた。ソファ席は四つしかなく、桃子が来店したときには既に3つは埋まっていた。


 甘いものが好きじゃないので決まっていつもブラックコーヒーだ。集中したいときは甘い物より、苦いコーヒーのほうが最適だと考えている。口が甘ったるくなるのが嫌いなのだ。


 混雑していることもあり、ためらいもあったがそのために来たのだから仕方ないと、小さな丸テーブルに仕事の書類を広げる。


 あまりにテーブルが小さいので、書類の上にコーヒーが溢れてしまわないか心配だが、ホットコーヒーをずっと手に持つのは熱くて辛い。


 桃子は大学を出て、人材派遣の会社に入社して8年が経つ。人手を欲しがる企業と、派遣社員として働きたい人のマッチングをコーディネートする。

 売り手市場のここ数年は、働く場所は沢山あるから、働き始めても何か不満があるとすぐに辞めてしまうがケースが多い。この業界では常に頭を悩ませる問題だ。そして桃子もその1人だ。


 












 

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現実逃避 @caramelu

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