江藤亮平、置かれている状況を考える
俺の名前は江藤亮平。東京の大学を卒業後に地元の佐賀に戻ってきた俺は県庁で働くことになった。
このどいなかにあるはずがないと思われる地下に存在する部署「エルフがサガ県民の願いを叶えます課」通称「エルサガ課」へ配属になったわけなのだが、そこはなんとも不思議な場所だった。
まずいえるのは、その部署に配属しているのは人間ではない。精霊と呼ばれる存在であったことだ。すると、俺までもいつのまにか精霊へと変化してしまっている。
生まれたときはたしかにただの人間だった。
耳もたしか丸く形をしていたよな。
けれど鏡に写る俺の耳は見事にとがっているし、実際にさわってみても確実にいままでの俺とは違っていたのだ。
それに目の色も髪の色もかわっっている。
元々は黒髪だったはずが鮮やかな緑になっているではない。それに目のいろまでも緑。
俺の琥珀の瞳はどこへいったんだああああ。
俺はただ混乱しまくっていた。
「大丈夫ったい。だれもわからんけん」
「うわ」
俺は洗面所で自分の顔を見ていると、課長である鍋島直子である。
ナイスバディのスタイル抜群の彼女もまたエルフである。金髪の長い髪と金色の瞳。
顔立ちも整っている。
そんな美女が自分のすぐ隣に顔を近づけてくるものだから、俺が驚かないはずがない。
俺の体が自然と跳ねた。
「そんなに驚かなくてよかたい。りょうちゃん」
「りょう......ちゃん?」
「よかたい。これからそうよぶけん、よろしく」
方言丸出しの言葉使いとその容姿がなんとも不釣り合いなことだろう。
そこは標準語でしゃべろうよといいたくなる。
そんなことは別にして
とりあえず、気を取り直そう。
いまの自分の置かれている状況をきちんと把握しなければならない。
「それよりもだれもわからないってどういうことですか?」
「そのまんまの意味たい。特別な事情がないかぎり、うちらはただの人間にしかみえんということたい」
はあ?
よくわからない。
俺が首を傾げていると課長がなにかいたずらでも企んでいるかのように笑う。
「すぐわかるけん。とりあえず、仕事にいくたい」
「仕事?」
「そう。さが県民の願いを探しにいくけん」
サガンワールドストーリーズ 野林緑里 @gswolf0718
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