最終話 最後に寄り添って・・・。
ナザームが宇宙に放った巨大な剣を、自らの力で動かしてナザームに突き刺したアゴノ。
しかし彼は大気圏突入により、かなりのダメージを受けていた。
「あ・・・、ああ。やったのか・・・。」
そしてアゴノの目の前にいたのは、同じくかなりのダメージを受けたドルクスだった。
「はあ・・・、はあ・・・。まさかあの剣を強引に落としにいくとは・・・、思わなかった。」
「やはり、これじゃあまだ倒れないよな。やっぱり、とどめは・・・。」
アゴノが攻撃しようとした時、ドルクスは宙に浮かんで言った。
「今回はお前の勝ちだ、だがこれで諦めるおれではない。また来ることを、忘れるな。」
そしてドルクスは、去っていった。
そしてアゴノも、体が限界を迎えていた。
「これは死ぬな・・・、ハハハ。でも、みんなが無事ならまあいいか。」
『まだ、息絶える時ではない。』
「アース・・・ライゴン?」
どこからかアースライゴンの声が聞こえた。
『そなたは、パワーストームの先導者としての使命がある。それに下僕たちのこともあるだろ?』
「そうでしたね・・・。」
『わしからパワーストームの力をやろう、そして全うに生きるがよい。』
そしてアゴノは、満身創痍から起死回生の如く完全復活した。
「アゴノ様〜っ!」
下僕たちがアゴノのところへかけよってきた。
「アゴノ様、よくご無事で・・・。」
「いや、危うく死にかけたが、アースライゴンが助けてくれた。」
「そうでしたか、それでナザームは・・?」
「融合が解けて元に戻った、ドルクスはそれから去っていったよ。」
「てことは、刹那も・・・。」
すると近くから来馬の声が聞こえた、アゴノと下僕たちが来馬の所へ行くと、すでに虫の息も消えかけている刹那の姿があった。
「刹那、刹那!!」
「・・・来馬・・・アゴノ・・・、ドルクスは?」
「ドルクスはお前を置いてぼりにした、おそらくもう見捨てたと思う。」
「そう・・・、私の野望もここまでね。」
「アゴノ、刹那を生き返らせてくれ!」
来馬はアゴノに懇願した。
「やればできるが、回復したばかりの今の私にはそれだけの力はない・・・。」
「そんな・・・。」
「いいのよ・・・、このまま・・・生き恥を晒すのは・・・嫌だから。」
「刹那、そんなこと言わないで!これから生きようよ。」
来馬は必死に刹那に訴えるが、刹那はすでに死ぬつもりでいた。
「ねえ、アゴノ・・・、やっぱり私の夢って・・・、間違っていた・・・のかな?」
この問いかけにアゴノは、こう答えた。
「それはお前の心が決めていたことだ、誰かが叶えなければならない夢を決定する権利なんかない。私はただ、お前と思いが対立していたから、戦うことを選んだんだ。」
「そうだね・・・。もし・・・アゴノくんが私の味方だったら、応援してく・・」
ここで刹那は完全に亡くなった。
「刹那・・・?刹那、刹那、刹那、刹那ーーーーーっ!」
来馬は号泣した。
世界に平和が戻っていたが、その場所では虚しさで満ちていた。
それからアゴノと下僕たちは世界を救ったヒーローとして、世界中から注目を集め一躍人気者となった。
ドルクスとシュウたちはあれから目立った動きは見せていない、またいずれやってくるが今は力を溜めているところだ。
「そういえばアゴノ様、来馬を下僕にしなくて良かったのですか?」
アリゲーターナイトがアゴノに尋ねた。
「ああ、元々正式に契約はしていないし、彼にはまだ新しい何かに会える可能性があるからな。」
あの戦いで刹那を失った来馬だが、気を落とすことなく前を向き歩みだしている。
今ではバックパッカーとして、世界中を旅しているそうだ。
「それにしても、刹那さん死んでしまったね・・・。彼女に正しい道へと導く味方がいたら、彼女は生きていたかもしれない。」
教授が言うとアゴノはこう言った。
「違いますよ教授、本当の自分の味方というのは、たとえ自分にとって嫌な言葉や意見でも、忖度無しでちゃんと言える相手なんですよ。」
来世では刹那が本当の味方に出会えることを、アゴノは心から祈っていた。
本当の味方 読天文之 @AMAGATA
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