第51話 後書き

 始まった当初は、ずいぶん先は長いと思っていた初期研修も、終わってみればあっという間だった。


 ありがたいことに、地域医療研修で保健所にお世話になった時以外は、単純な見学者ではなく、(程度の差はあれ)実務に携わることができた。全く何もできなかった最初のことを考えると、初期研修の終了時にはERでもある程度の戦力となるまでに成長できた。師匠や諸先輩方の指導のおかげであり、ありがたいことである。ここで書いたエピソードは、おそらく2年間の初期研修のごく一部であり、すっかり忘れてしまっているエピソードもたくさんあるはずである。思い出せないエピソードも私の経験値となって、今の医師としての力になっている(はずである)。


 この後は、内科後期研修医として、より専門性の高い研修を受けることになる。この病院では、後期研修医は明らかに「戦力」であり、立派な「実働部隊」である。主治医としての患者さんとのかかわりも深くなり、医学的な実力だけでなく、人間力も問われる場面がどんどん増えてくる。研修中はハードだったが、振り返ると充実していた。


 かの有名な聖路加国際病院の内科チーフレジデントが作成している「内科レジデントマニュアル」、あるいは「内科レジデントの鉄則」。よくできた本だと評価が高い本である(私もそう思う)。後期研修医時代に私も購入したが、内容は普段僕らが行なっていたこととほとんど変わらなかったので、あまり新たな知識を得ることはできなかったことを覚えている。研修病院としては有名とは言えない私たちの病院であったが、指導医も、レジデントもみんな優秀だった。それを引っ張っていってくださった師匠の力量も素晴らしかった。


 今後の保谷先生の活躍は、続編「やっぱりがむしゃら、内科後期研修医」をご覧いただきたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とにかく、初期研修医頑張ってます。 川線・山線 @Toh-yan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ