「ところで」

「うん?」

「いや、ようやく先生の作品が完成したので、それを今まさに持っていこうとしているわけですが」

「うん」

「これ、私が持っていく必要あります?先生が直接渡してあげればいいのでは?」

「ははは、やっぱり君はわかっていないな。だからこそ君に運び人を任せている訳だが」

「はあ、」

「いいかい?私と夢追人が出会ってしまったら意味がないんだ。それじゃただの幻覚になってしまう」

「はあ、」

「私たちは決して出会うことはない。だからこそ、追いかける価値があるのだし、それが喜びになるのだ」

「……うーん、まあよく分からないけど、とりあえず行ってきますね」

「それでいい、いってらっしゃい。また来ておくれよ。彼らがこの地にいる限り、私はいつでもこの地にいるのだからね」


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武蔵野の夢 きつね月 @ywrkywrk

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