行きつけの喫茶店でホールのアップルパイを作って彼氏を待っていた女子高生のテリ。ところが彼は手をつけもせず、彼女を振って立ち去ってしまいます。
ぼんやりしていた彼女の目の前で、見知らぬ男が断りもせずにそのアップルパイを食べてしまうのですが、実はそれは下剤入りで——!?
意趣返しにと下剤入りのアップルパイを作ってしまうテリちゃんのマイペースでクールな感じと、それをうっかり食べてしまった胡散臭い男、東雲。
偶然の重なりに見えて、その裏にあった東雲の真意と正体を知った時、もうニヤニヤが止まりませんでした。
いったい彼は何者なのか、そしてテリとの関係がどうなるのか?
さくっと読める短編ですので、ぜひ前情報なしに読んでニヤニヤしていただきたいちょっぴり危険で甘いお話です。
なお続編となるお話も公開されているので、二人のその後が気になる方はぜひ!(きゅんとすること間違いなし!)
ミステリが好きな主人公に訪れた、出会いと別れ。
そんなとある一日の喫茶店から物語は始まる——。
とんでもない彼氏に制裁を、とばかりに仕込んだ下剤。それをたまたま居合わせた自称 : 詐欺師の男がぱくりと食べてしまう。
思いきりのいい主人公のテリと、謎が謎を呼ぶ自称詐欺師の東雲さん。
事件か事故か、そんな出来事に巻き込まれながらも時は過ぎ——?
サクサクと進んでいくテンポの良いお話に、ついつい「もう1ピース」「もう1ピース」と気づけば一気にワンホール食べちゃってた!そんな物語。
謎は解けるのか。
テリのアップルパイはどうなるのか。
さあ是非とも、この物語の最初の1頁を。
最後に残ったものが如何に奇妙なことであったとしても。
それは真実となるのだから。
リンゴの果実の花言葉(実に花言葉というもの不思議だけど)には「誘惑」と「後悔」があるという。
主人公テリは、二股三股も余裕そうなクズ男と付き合っていたけど、好きだけどもこれ以上搾取されてなるものかと、別れを予感するその日に渾身のアップルパイを焼く。隠し味はなんと下剤だ。
しかし受け取り自体を拒否されるという形で、計画は失敗してしまい。
美味しそうなアップルパイの誘惑に負けたのか、はたまた別の理由があったのか、偶然居合わせた謎の男が、そのアップルパイを食べて……後悔する。
という導入から始まるこの物語。
膝上に落ちたパイの欠片のようなクズ男を払いのけて捨てる、サバサバとした主人公の性格に親しみが沸きます。サクサクと読み進められる軽快な文面と、シナモンのように香るミステリー、そして読後に残る甘酸っぱさ。
おお、この作品そのものがアップルパイみたいだ!
紅茶を一杯を飲み切る時間で、美味しくいただける物語です。
おやつの時間に軽く読書したい、そんな時に特におすすめ!