この物語、アップルパイ。

  • ★★★ Excellent!!!

 リンゴの果実の花言葉(実に花言葉というもの不思議だけど)には「誘惑」と「後悔」があるという。

 主人公テリは、二股三股も余裕そうなクズ男と付き合っていたけど、好きだけどもこれ以上搾取されてなるものかと、別れを予感するその日に渾身のアップルパイを焼く。隠し味はなんと下剤だ。

 しかし受け取り自体を拒否されるという形で、計画は失敗してしまい。

 美味しそうなアップルパイの誘惑に負けたのか、はたまた別の理由があったのか、偶然居合わせた謎の男が、そのアップルパイを食べて……後悔する。

 という導入から始まるこの物語。


 膝上に落ちたパイの欠片のようなクズ男を払いのけて捨てる、サバサバとした主人公の性格に親しみが沸きます。サクサクと読み進められる軽快な文面と、シナモンのように香るミステリー、そして読後に残る甘酸っぱさ。

 おお、この作品そのものがアップルパイみたいだ!

 紅茶を一杯を飲み切る時間で、美味しくいただける物語です。
 おやつの時間に軽く読書したい、そんな時に特におすすめ!

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