だいじなもの

「おいしかった!」

「たのしかった!」

「まの、やきにくのこと、ぜったいえにっきにかく!」

「ぼくも!」

「……絵日記?」

 まだ『夏休みの宿題』は無いはず……だよな?

「うん。『ぼうけんのしょ』っていうの!」

「パパがね、じのれんしゅうと、しょうがっこうのれんしゅうだよって」

 なるほど、ご家庭のカリキュラム。

「じだけじゃなくて、えもかくんだよ! ……えへへ、かけるかなぁ」

「真乃は日記が苦手なのか?」

「ううん!

 ……だってきょう、すげー、ちょーいっぱいたのしかったもん!」

「ぼくも、いちページじゃたりないかも!」

 今日のことが、いつか二人の記憶から無くなっても、今日の記録ぼうけんのしょごと、消えて無くなってしまったとしても。

 ――少なくとも、私の心には残っている。

 私にとっても、そう思える……楽しい夏休みのひとときだった。

用紙ページが足りなければ、私のノートを使うといい。

 コンビニに寄って帰るぞ。そして花火パート2だ」

「はなび!?」

「やったぁ! でも、なんで……?」


「なんでって――

 楽しい夏休みの思い出を、少しでも増やしたいだけだが?」

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最強勇者「何って……楽しい夏休みのために、少し本気を出すだけだが?」 らと @meganecat

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