心をすりおろしにくるかのようなざらつく語り口
- ★★★ Excellent!!!
パフェなら無限に食べられると豪語する少女と、じゃあ証明してみせろとそれをファミレスへと連れ出す少女、ふたりの関係性の物語。
百合風味の現代ドラマです。ざっくり要約すれば「女子高生ふたりがファミレスでだべるだけの百合」になるのに、その字面から受ける印象とは真逆のものをぶつけてくる物語。
この刺々しくてヒリヒリする手触り、心を揺さぶるというか容赦無くヤスってくるような読み口が強烈でした。「刺さった」とか「打ちのめされた」ではなく、じわじわザリザリすり下ろされる感じ。ひぎぃ。
主人公のゆかりちゃんが好きです。人としてどうしても好きになれないところが物語として大好き。
この人、心境をいろいろ饒舌に語ってくれますし、また最後まで読むと何か大きな情念なり衝動なりを抱えているのもわかるのですけれど、でも徹底して何もしないところがもう本当にすごい。
能動的な行動や発言が何ひとつなく、外から与えられた何かに感想をつけることはできても、自分が何かの起点になることはない。それゆえに返ってくるそれなりのリターン、当然の帰結というべき現状に、ひたすら泣いて腹を立てて不満をぶつける姿がもう最高でした。あまりにも生々しい子供の世界。
黙って口を開けていたら上げ膳据え膳、誰かがどうにかしてくれるはずの世界で、でもその通りになってくれない目の前の存在。それをどうすればいいのか、そも自分がどうしたいのかもわからないまま、ただぐるぐるめぐるばかりの苛立ち。心をチクチク穴だらけにされるみたいな読み口が魅力の作品でした。すごかった……。