カモメたちの行く場所

作者 森本 有樹

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★★★ Excellent!!!

 かつて教官を務めていた戦闘機乗りの女性と、彼女に師事した少女の、避け得ない運命と因縁の物語。

 どシリアスな空戦もののファンタジーです。
 作中の世界そのものは明らかに現実のそれとは異なるのですけれど、科学技術等の設定面はほぼ現実の世界と同等であるところが独特なお話。近代的なジェット戦闘機を駆り、国家のために任務を遂行する主人公、という点では、事実上の現代ものと言ってもいいかもしれません。

 自由についての物語であり、主人公個人の苦悩や葛藤が主軸にあるのですけれど、それがそのまま家や国などのより大きな括りに繋がっている感じが好きです。
 壮大な国家規模のドラマでもあり、主人公の生き様の物語でもあって、しかしそれらが分かち難く結びついているというか、そのように描き出されているところ。

 個としての自分と公の存在としての自分、そして自由というものについて。かなり広く大きく、それも複雑に言及されているにもかかわらず、一本の物語として飲み込めてしまうところがとても魅力的でした。

 終盤の山場、ドッグファイトのシーンはもう圧巻です。
 一般的な生活からは縁遠い、つまりは描くのも想像するのも難しいはずのアクションを、でもビリビリに身に迫る迫力を持って描き出すこの筆致!
 無常さの中にロマンのようなものを感じる、シリアスな戦争ものの作品でした。

★★★ Excellent!!!

物語の中の人間関係も素晴らしいのですが、航空戦描写が凄い…!
耳慣れない用語が多いけれど、それも何となく雰囲気で楽しめました。
というのも、知らない用語多いと堅苦しい印象あるんですけれど、この作品はそんなこともないので、こういうのをあまり読まれない方にもオススメしたい作品です。

★★★ Excellent!!!

決められた滑走路から飛び立つ時、彼女たちは自由だった。

国という束縛、家族という束縛、地域の、性別の……

沢山の束縛から解放された時、彼女らは自由だった。

その翼にはらんだ空気がどれほど熱くても。


空戦を絡めながら、そして政治も絡めながら、でも目指したものは、どちらも自由だった。

これは二人の女性の物語。