第四回こむら川小説大賞、テーマは「異能」。十人十色の異能がシノギを削る中で明らかに異彩を放つ、そして「役にたつのそれ?」とい首をかしげるトンデモ能力が主題のお話。だが、読み進めていけばその力はいかなるチート、いかなる技能すらおいてけぼりにするとてつもないポテンシャルを持っていたことに驚愕することになる。
そもそも、饅頭とは何だろうか、というトンチと共にスケールが指数関数的に肥大化していく展開はただただ脱帽するばかりで、そこで明かされる驚愕のまんじゅう真実にただ読者は最後の一行まで翻弄されるのみである。読み終えたとき貴方は万物にまんじゅうの特性を見ることが出来るようになるでしょう。
……そうとしか言えねーよ。主人公の想像力凄すぎ!そうか!あれもまんじゅう、これもまんじゅう……。
最後まで餡たっぷりの狂気(誉め言葉)はお時間がある方は一度ご賞味あれ。長い夜のお供のおやつのカロリーの丁度良い消費先になる筈です。
(これを書き終わったらいちご大福を買いにいこうとおもいます。)
ある日突然神様から授かった能力、まんじゅうの中身を粒あんに変える「粒あんエクスチェンジ」により、世界に変革をもたらす男の物語。
えっちょっと何これ面白い……! いや「えっちょっと何これ」なんて言ったら失礼なようですが、でも読んでいる時に感じるこの「えっちょっと何これ」感こそが最大の魅力なんですから仕方がありません。変拍子のような、何か強烈なドライブ感。
ものすごい作品でした。何をどうやったらこんなお話を書けるの?
ある種のサクセスストーリーであり、またそこに孕んだ一抹の危うさが魅力だったり、というお話には違いないのですけれど、でも読んでいてすぐ「そんなものじゃない」となるところがもう本当に大好き!
事態の変遷というか、雪だるま式に話が大きくなってゆくこの感じ。しかしものが「粒あんエクスチェンジ」だけに、果たして一体どこにどう進んでいくやら、まるで予想もつかないのが最高でした。もう先が気になってもりもり読まされちゃう。
淡々と、明瞭に状況を綴るような書き方の中で、個々のキャラクターに妙な魅力があったりするのも個人的に好きです。なぜか越後屋さんがとても好き……。
一見馬鹿げているようでいて、いや馬鹿げている部分は間違いなくあるのですけれど、でもそれすら全部飲み込んでしまうような壮大な作品でした。面白かった〜!