第4話 弱点

「これでも食らいな!!」

 プラムは今度は三本一気に俺の方向に飛ばしていた。

「一本でギリギリだったお前がこの攻撃をよけれるはずがない! 終わりだ!!」

(確かに……。さっきの一本でギリギリ……。二本で腕一本。三本なら確定……。それが普通だよな。“普通”なら。)

 エキザカムは左右によけるのではなく、あえてその糸に向かっていった。

「馬鹿が!! 血迷ったか!」

「血迷ってなんかいないさ! これでいい!!」

 そういうとエキザカムの右の手のひらにが刺さった。

「はったりなんか言うからそういう目に合うのさ! 残念だったね?」

「いや……!! 成功だ……!!」

「なに……??」

「どうしようかと思ってたんだ。左手はつぶれたし、右手しか残ってないし……。できるかわからなかったがかけたんだ」

 エキザカムは下唇を噛みながら言った。

「何をぶつぶつ言ってやがる!!」

「何って??? こうするんだよッ!!!!」

 右手のひらに糸が刺さったまま手を閉じ、そのまま全身を使いその糸を引っ張った。

 それは通常なら相手の重心がぶれる程度だろうが、エキザカムは違う。

 あまりの筋肉強化によりプラムを宙へと吹っ飛ばした。

「な、なにィィィィ!!!!!」

 プラムは突然のことに頭が働かず、引っ張られることによる指への激痛に耐えられなかった。

「ぐああああああ!!!」

 そのためかプラムは左手を後ろに構えているエキザカムに気付かなかった。

「ぶっとべ!!! 【鞭のように撓る腕ウィップ・アーム】!!!」

 エキザカムは自分のほうに飛んできたプラムに全身のしなりを利用して文字通り鞭のようにした左手で地面にたたきつけた。

「ぐはあ!!!」

 プラムは地面にぶつかった衝撃で意識を失った。

「ふぅ!!!」

「第一回戦、勝者はエキザカム!!」

 小さな審判型樹木人形オートジャッジドールが宣言をした。

すると二人の傷は見る見るうちに回復して見る見る

「な、なんだこれ!」

「それは小さな審判型樹木人形オートジャッジドールのおかげさ……」

「はあ! 便利なシードだな!」

「しかしまさか君……。それを知らないであんな戦い方をしたのか!」

「おう。そうだぞ」

「な、なんて奴だ……」

 プラムは顎が外れるのではなかろうかと言わんばかりに、口を開き驚いた。

「し、しかし最後まで君のシードはわからないままだった……。君のシードは何だったんだい???」

「俺はシードなんて持ってないよ」

「まさか!! そんな人間いるわけないだろ? ははあん? さては隠したいんだな! 今回はそれに乗ってやろう」

「いや……俺は本当に……」

「皆まで言うな。俺を倒したんだ。絶対に全部勝って、入学しろよ」

「それはもちろんだ」

 プラムは俺の背中をたたいて去っていった。

「さて……。二回戦目の相手はっと、ってやつか」

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ノット・シード(読み切り) 鷹山 @hijiki0808

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る