第一回戦 エキザカムvs.プラム

第3話 自由自在の糸操作

「さてさて、君のシードの能力を見せてもらうよ!!」

 プラムは右手を俺の方にかざすと、彼の指の爪の隙間から細い糸のようなものが出てきた

「ふっふっふ。俺の能力は【裁縫】。すべての爪の隙間から糸を出す能力。糸だからって甘く見てはいけないよ?? こんな風にっふ!!! 岩をも貫通できる」

 プラムは糸を伸ばすとその方向にあった岩を糸が貫通するのを俺は肉眼で確認した。

「ま、マジか……」

「どうだ? 降参するなら今のうちだぞ」

「その糸、どういう仕組みなんだ?? きもすぎるだろ……」

 エキザカムは深刻そうな顔で糸を見つめていた。

「え? そっち?」

 プラムは自分の思っていた反応と180度違う反応を見せたエキザカムに少し困惑した。

「ま、まあいいさ。どうせ君は俺に倒されるんだからね!! っふ!!」

 プラムは人差し指をエキザカムの方に向け、糸を飛ばしてきた。

 しかしエキザカムは驚くことはなく、冷静に考えていた。

(あの糸の速度はギリギリ肉眼で把握できる程度。糸の色は白色なためか太陽の反射がなければ見ることすら難しいレベル。これがシードというものか……。これは!!! よける!!!)

 エキザカムは右側に体を動かし、もう少しで心臓に貫通寸前のところで糸をよけた。

「ほほう……。やるじゃないか。それは君のシードで身体能力が上がっているのかな?」

「いや、これは普通に自分の身体能力だ」

「つまり……? 目で見てよけたと? っは! はったりだな。そんなので俺のシードがよけれるはずがない!っふ!!」

 俺の発言を鼻で笑うとプラムは今度は両手の人差し指を俺に向け、糸を放ってきた。

 俺はそれをもう一度体をそらしもう一度右側に体をそらした。

 しかし一本の糸をよけた後、もう一本の糸が俺の体の中央に向かってきていた。

 そして俺はギリギリで体をそらし、糸は左腕に刺さった。

「っぐ‼」

 針が突き刺さったような痛みが左腕から感じとれる。これは……! 急所だ……!

「はっはっは!! 君?さては右利きだろ?」

「それが……! どうした」

「右利きの人間は左足に軸を置く者が多くてね。右側によける癖があるんだよ。やはり……。さっきのはまぐれだったか。さあ君のシードを見せたまえ!」

(こ、こいつ……。バカそうに見えて、意外と頭の切れる奴だったか……。なら俺もこうするしか……)

「見せる必要はない」

「なに?」

「今ので勝ち筋が見えた」

「っぷ。くはははは!!! 何を言うかと思えば、それもブラフだな。見ろよお前の左腕、それはもううまく力が入らないはずさ」

 プラムは高笑いをするとすぐに鋭い目つきに戻った。

(観察眼まで糸のように鋭いのか……!)

「確かに、左腕はもう動かない。だが、勝つのは俺だ」

「ッチ。まだ夢を見ているようだなァ!! そんな見たきゃ、眠らせてやる!!!!」

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