第2話 もうピンチなのですが!?

他の人を倒す!? 一体どういう……。

 いきなりの教員の発言に全員が困惑と衝撃を受け、それぞれが思わず口を開き広場はざわざわしていた。

「静かに」

 その一言にまた全員は口を一斉に閉じた。

「まずは申し遅れました。私の名前はカタバ。よろしく」

 (今頃自己紹介かよ!? そんなことより倒すって……)

「コホン。では今から皆様が気になっているであろう、試験のルールを説明いたします」

 そういうとカタバさんは試験についての説明をしてくれた。

ルールはこうだ。


・学校がランダムに決めた相手と戦い三勝したものが第一試験突破。

・そののち在校生と戦い、勝てはせずともいい成績を残せばクリア。

・判定はカタバのシード【審判】によって公平にジャッジされる。

 【審判】…小さな審判型樹木人形オートジャッジドールを複数生成する能力。

・道具の使用は禁止、使えるのは己の肉体とシードのみ。

・制限時間内に勝者が決まらない場合、どちらも敗北とする

・相手を殺すのは禁止

     非常に簡単なルールである。


「もちろん。在校生を倒すのでも構いませんよ」

 カタバはにやりと笑みを浮かべた。

(なるほど……。要は実力至上主義って言うことか……って)

「それって俺、大ピンチじゃない!?」

 エキザカムは戦うどころかシードすら使えない。しかし相手は全員シードを持っており、生身の人間が向かえばどうなるかなど容易に想像ができる。

「試験開始は今から10分後。今のうちに準備運動をしておくこと」

 カタバはそれだけを言うとこの場を去っていった。

(まずいまずいまずすぎる……)

 頭の中が焦りでいっぱいなエキザカムに対戦相手の表が配られた。

「なになに……。一回戦目はプラム……さんか」

「そのプラムってのは俺のことさ」

 エキザカムより一回りほど大きく、髪は赤く逆立っている男が話しかけてきた。

「あなたがプラムさんなんですね」

「あぁ。そうさ。一回戦目はよろしくね」

「よ、よろしく……」

「でも残念だな。目の前で無残に散る敗北者を見なきゃいけないなんて……。今のうちに棄権することをお勧めするよ」

 プラムは俺の頭をわしゃわしゃと触りながら、耳元でそういった

(確かにな~。シード持ってないわけだしぶっちゃけまずい。でも……)

「忠告ありがとう。でも勝つのは俺だ」

(なんだかわかんないけど自信がわいてくる!! 負ける気がしない!)

「そうかい。その生意気なお口は俺のシードで縫い付けてやるよ」

 人差し指で俺の唇を横になぞると彼は高笑いをしながら去っていった。

「どうすっかなあ……。とりあえず準備体操でもしとくか」

 残りの10分間、エキザカムは体を温めることに集中した。


10分後——

 俺たちは専用の特設会場に移動し対戦フィールドに足を踏み入れた。

「それで……。なんで君は汗ぐっしょりなんだい??」

 エキザカムは準備運動で適切な汗をかき、それを見たプラムは少し引いていた。

「えっと。なんででしょう???」

「知らないよ!!!! はあ。とりあえず俺には勝てない。それだけは知ってる」

 プラムは指をポキポキと鳴らしながら挑発をしてきた。

「それはどうかな??」

 エキザカムは首をバキバキと鳴らし、挑発をし返した。

「それでは、試合……開始!!!」

 小さな審判型樹木人形オートジャッジドールにより開始のゴングは今鳴った。


 

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