傑作品の末路
バブみ道日丿宮組
お題:消えた傑作 制限時間:15分
傑作品の末路
今頃、屋敷じゃ大騒ぎしてるだろう。
実験体2人が逃走。
しかも形跡がどこにも残ってないし、レーダーにも映らないのだからね。
他の実験体も協力してくれてる。
それも感知されないように微妙なアシストを。
「……怖くない?」
握りしめた手のひらは暖かい。
振り向く彼女の顔は緊張感でいっぱいだった。
「大丈夫」
彼女が作った明かりは僕らの辺りを照らしてくれる。
実験体として開花した能力……ESPとも魔法ともいえる力強いもの。
誰にも感知されず結界の役割まで果たすーー1つの魔法で4つの効果をもつ。
これが屋敷にいた大魔法使いの実験体である彼女。
「僕は力で守ることはできないけど、知識と知恵だけはあるから……」
僕はIQと呼ばれるものが概念となるほどの回転をする頭の良さらしい。
自分ではそんなことはわからないけど、ああしたらいいこうしたらいいというのはすぐ浮かんでくる。そんなのは他の実験体も出来てたのに、研究者は僕にご執心だった。
人体をいじられるだけいじって出来上がっただけなのにね。
「そこは私がやるから大丈夫。他のこたちもそのうち抜け出せる」
「さすがだね」
仲間想いの強い彼女のことだ。
分身魔法のような魔法で誤魔化してるのかもしれない。
何にしても、彼らと合流できるならこの先どんなことがあってもきっとどうにかできる。
戦略も生きることも未来が見えてくる。
子供2人だけじゃないーー確かな未来が。
「追ってはくるよ」
彼女の握る手が強くなる。
「大魔法使いは実在する。その人が追いかけてくるのなら、私の未熟さはすぐにバレる」
「でも、今は屋敷にはいない。そうでしょ?」
うんと彼女は頷いた。
いなくなった頃合いを見計らっての計画だ。
いたら、どうなってたことやら。
魔法と魔法のぶつかり合いが見えるのか。
ーーぶつかり合いの末に倒れた彼女の映像が見えた。
「いなくて本当に良かった」
数が増えれば良いことだらけじゃない。
見つかるリスクも当然上がってく。
揃いも揃って実験体の傑作品と呼ばれる物がなくなるんだ。
相手も追いかけかたは本気にならざるをえない。
「あの飛行機、人払いと確認できる」
「うん、情報通りいない」
よし、スピードをあげるために彼女をお姫様だっこしたら、可愛い悲鳴が聞こえたけど彼女はすぐに僕に魔法をかけた。
数日後、僕らは世界から指名手配されることになった。
冤罪。
実験を行ったものたちとしてーー。
傑作品の末路 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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