王様の食べ物
バブみ道日丿宮組
お題:ドイツ式の狼 制限時間:15分
王様の食べ物
鬼ごっこというのは古来より存在してる遊びである。
だが、私が今見せられてるのは生きるか死ぬかの鬼ごっこ。
逃げ場のない闘技場の中をオオカミに食べられないように逃げ続けるという絶対に死ぬことが決まってるデスゲーム。
「やめさせて! 私がやるから!」
そうできれば、彼の生命は助かる。私が食べられるのは変わらないんだから、生命を消させたくない! 何より大好きな彼が食べられるのなんて見たくない!!
「お前がやっては意味がない。屈服させて嫁にさせるのが余の願いだからな。ほれ、よく見ておれ。お前も存分に興奮してるではないか」
「ち、ちが!? こ、これはあなたがへんな薬を飲ませたから!」
私が素直になるといってもこの王様はやめてくれない。私自身も飲まされた薬で前だけしか漠然に見えない。
王様は、彼をオオカミに食わせる姿をどうしても見せたいんだ。私の身体も恐怖だけで身体が火照ってくのが止められない。薬のせいで私は彼の死を興奮してしまう……やめられない。
どうしても息遣いまでが壊れてしまう。
「あいつが食われる寸前にお前という絶景の美女を頂くとしよう」
「そ、そんな価値は私にないし、したいというなら彼を開放して今すぐ私を食べなさい!」
王様はあっけにとられるような仕草をし、
「それでは味気ない。余の欲求は満足せず、お前を壊してしまうかもしれぬからな」
そういって王様は兵士に何かを伝えた。
その何かはすぐ目の前に現れた。
オオカミの数が増えた。
ぼやけた視界に見えたのは二匹。
合計三匹のオオカミが彼1人を追いかけ回し、噛みつきかかってる。
「あの男で存分にお前が欲を出してくれればくれるほど、味わい深いものよ」
「や、やめて、ふ、ふれないで……ぐぅ」
触られただけで身体がびくんと跳ねる。
どうしようもない感覚を自分の意志ではコントロールできない。
「身体は正直でいいぞ。それでこそ余の嫁に相応しい。あの男にはおしいものだ」
王様が嬉しそうに笑う。
耳にその声が反響して、私も笑いそうになってくる。
色んなところから汗やらなにやらがでてくる。
もうこの感覚に身を任せてしまいたくなりそう……ダメ。彼を救える唯一の方法は王様を諦めさせることなんだから、私が自分を味付けてはいけない。
「ほう、なかなか肝も据わって味が良さそうだ。だがな我慢は毒だと教わらなかったか」
「ん、んん!?」
私の中に異物が入ったと思ったときには、彼が三匹に囲まれたときだった。
「前菜は気に入ったか?」
私の意識が完全に落ちる前に見えたのは王様の満足した笑顔とそのたくましい胸の筋肉だった。
王様の食べ物 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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