14 Truth

 振り向けば、そこには彼はいなかった。その代わりにあったのは白い紙。手に取って良く見てみるがただの白紙で、文字が書いてある訳でもなければ、何らかの細工がされている訳でもなさそうだ。

 しかし、何故だろうか。温かい。懐かしさを帯びているように感じる。おかしな話だが、この紙からは何かの記憶を感じるのだ。それが私のものかはわからない。もしかしたら彼のものなのかもしれない。ただ幼い頃の記憶であることだけは確かだ。

 彼に何かを感じたのと関係があるのだろうか。夢の中で出会った彼は、どこか懐かしさを纏っていたのを覚えている。

 その紙に導かれるように夜の中を漂う。この道を知っている。

 高校生なのだから家の周りを知っていて当たり前なのだが、そうではない。言葉にすることのできない、昔の道を歩いているような、そんな感覚。

 ざらざらと夜が頬を撫でていく。嫌な予感がまた始まった。彼が来ているのだろうか。



走る→8へ『For him』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426843432216


後ろを見る→9へ『Catch and run』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426843442779


考える→16へ『My memory』

https://kakuyomu.jp/works/16816700426841578850/episodes/16816700426844194257

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