第5話
俺は、捕まえられる。
「いただきまあああああああああああああっ、まりょくがへってる? いや、吸収されている!?」
そういう化け物が殴り飛ばされる。
「!?」
全体からジュージューあふれ出る赤黒い蒸気とともに、十字架のメリケンサックをみにつけたシスター姿の悪魔。
「ヒトの男に手を出してんじゃねえぞ。カスがアアア!!!」
吠える彼女。ティアラ―ペネロ。俺の大好きな人。
衝撃で吹き飛んだ俺を見事にキャッチした彼女
「ナイスキャッチ」
「当然」
そういうととっさに俺のことを下ろして、
殴りの構えに出た。
「悪魔がそんなのを使うなんていやあ物騒ねぇ」
殴られたところからパキパキと割れていく化け物。その中からは第二形態と言わんばかりの、新しい姿が見えた。
「アスモデウス、お前を確実に殺すんだ。覚悟しな!!!」
「やれっるもんならやっぶべら」
「私は、早く終わらせたいの。短期決戦で行かせてもらうわ」
そういって、思いっきり殴り飛ばす。
ざっと10メートルくらいだろう。吹き飛んでいった悪魔に、彼女は狙いを定めるようなポーズをとる。
「はああああああああああああああああああああああああああああ」
メリケンサックの付いた右こぶしに体から放たれる蒸気が集まっていく。その蒸気は十字架の形をしていき、
「ははっ、悪魔の血で、十字架を作るなんて。いかれてるわ貴方。それがどういったことか知ってるでしょ?」
腕に纏われる。
「知っているから使うんでしょ」
「させる?」
殴りかかっていく悪魔。
「いいや、受けて頂戴」
カウンター気味に放たれていくその一撃は、
「血払魂十字〈爆裂〉」
空を裂き、気を裂いた。
「あっ」
拳を経由して血で作った十字架を悪魔の体内にぶち込む彼女。
「っ、あっ、がぁっ」
完全に入れ終えると、回し蹴りで蹴り飛ばし距離を無理やり作る。
「じゃあ、な」
親指を、下に向けると同時に、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
化け物が断末魔とともに爆裂した。
「カズヤ……大丈夫?」
幼馴染を背負う俺に心配して彼女は問う。
あたり一面は血の雨だ。
「ああ。大丈V」
Vサインを掲げ、平気なことを彼女に伝える。
「ふう~。ああよかった~」
「それじゃあ、一緒に帰ろうか」
エピローグ。いや、プロローグかな?
朝。
学校。
扉を開けて、つかつかと入ってくる副担任。
「えー担任の明日野紗良先生が今日は休みということなので、今日は私がホームルームしまーす」
そんな、こえを横耳にしながら、昨日のことを思い出す。
俺たちは手当てをした後咲耶を家に帰して、今後のことについて話し合った。
「なあ」
「ほんとによかった」
「?」
「(仮)契約は破棄されたよ」
「そうか。それは残念だよ」
「なっ、ほんとに命がかかってることわかってるの? 魔力を失うことは」
「命を失うことだろ。冗談だよ」
「もう、笑えないよ。次はこんなの勘弁だから」
「ま、気つけるよ」
「でも、あの時名前を呼んでくれてうれしかった」
「そっか……お前はこの後も家に?」
「そうね。最初からその予定だし」
なんてことがあって。
ちらっと、彼女のところを見ると、ニコッて笑顔を向けられた。
「なんで学校に来てんだよあいつ。こっちみんないてててて」
「いやそれこっちのセリフだから。咲耶」
全身包帯にギプスという、病院にいろと言いたくなるような恰好で学校に来ていた。
そういう彼のもとに彼女が来て、
「なんでって、そりゃ私は強靭だからなななななななななななななななななななな」
「あら? 苦しそうではありませんかwww。昨日、貴方が教えてくれた保健室に連れて行ってはどうでしょうかねえwww」
笑いながら彼女は突っつく。と言うか肩パンする。
「このアマだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
おもむろに立ち上がったと思ったら、そういってデカい音たてながぶっ倒れる。
「立つのもままならねえじゃねーか。お前ほんとになんで学校来た?」
「私は、こいつを、絶対、殴る」
「や↑wっ↑wて↑wみ↑wろ↑www」
急いで二人の喧嘩を止めに入る。
「まったく、喧嘩していないで大人しくしろお前ら!!!」
全く、普通の平穏を望んでいたはずなんだが、なんでこんなに騒がしいんだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「おりゃあああああああああああああああああああああああ」
でもまあ、こんなのも悪くないな。
この日、いや人生で一番の
「いい加減にしろ」
スパーンと気持ちい音が鳴った。
読み切り短編。少しだけ非日常に足突っ込んでる俺が、好きな悪魔と再会した件。 金髪幼女ロリ @kappa01
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