最初で最後の手紙

あめんぼ

第1話 いつも通り

「おはよう、学校行くよ。りょう。」

「布団剥ぐな、寒いから。」


朝はいつもこうして起こしてもらっている。


「いつになったら私無しで起きられるようになるの、まったく。」

「俺は、朝弱いんだよ。」


まだ7時半で学校には8時半までに着けばいい

まだ時間には余裕がある。


俺は身支度を終わらせて、しずくと一緒に学校に向かう。

俺こと、佐上遼と中村雫は高校二年生で、

同じ高校に通っている。

俺は、サッカー部だったが、もうやっていない。ずいぶん前に退部した。

しずくも、無所属で帰宅部だ。


「おーす。」

「おーす。」


学校に入ってまず、話しかけてきたのは、

坂口健太郎サッカー部に所属していて、退部した後も仲良くしている。


「今日、小テストあるってよ。」

「マジ?何もやってねーよ。」

「嘘つくなや、学年一位がよ。」

「いや、マジで何にもやってないって。」


こんな会話をしているうちに冷ややかな視線を浴びていることに気づいた。

少し、騒ぎすぎたかなと思い、声のトーンを

落として話すことにした。

 

「あーあ、テスト難すぎだろ」


小テストが終わり、昼休憩になった所で健太郎が、言った。


「英語とか、1番苦手だわー。」

「あんなもん授業聞いとけば余裕だろ。」

「やっぱり天才の言うことは違うなー。」

「天才じゃねーよ、凡人だ。」

「もっと自信持てよー。なー中村さん。」

「わ、わ、私は...えーと、分からないです。」


昼食は、いつもこの3人で食べることが多い

雫は内弁慶というやつで、俺と家族以外とは

上手く話せていない。

健太郎は仲良くしようとしているが、

正直まだ距離がある。早く仲良くなって欲しいものだ。


昼食を終えてトイレに向かい個室に籠る。

少ししたら男子生徒が何人か入ってきた。


「佐上また、テストで一位だってよ。」

「は?マジで、それはキショイなー。」

「アイツの天才感まじ、ウザイよなー。」

「それな、サッカー部でも、なんでこれぐらいできねーの、みたいなこと言うし。」

「わかる〜、あれはうざかったわ〜、しかも、エースナンバー確定なのに急に辞めるしな。」

「あれはビックリしたなー、そのせいで

俺らベスト8だからなー、アイツがいたら絶対全国取れたと思うし。」

「だよなー。元から嫌なやつだったし、それもあってみんなから嫌われ始めたからな。」

「ていうか、なんで辞めたんだろ、アイツ。」

「知らんけど、噂ではバイトって聞いたで。」

「アイツが、バイトなんかするわけないやんどうせ飽きたからとかやろ」

「そうかもなー、やべ、そろそろ授業始まるから、行こうぜ。」

「おう。」


パタパタと、足音が消えるのを待ってから、

俺はトイレから出て、ゆっくりと教室に戻った。






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