第3話 孤高の大ボッチ時代

そんな感じで一日交代で明日のちょっとしたことをお題に賭けをするのが日課になってしまった

今のところ俺の全戦全勝、こういう無駄な事には豪運らしい、勝ち続けてるから自分が幸運と勘違いして昨日帰り道にガラガラくじ引いてティッシュ惨敗した

なんと神様は理不尽で不公平なのか、もっとカッコいいとか頭いいとかわかりやすくて役に立つものを授けてくれても良かったのに、なんだよ無駄なところで幸運って微妙すぎるだろ、じゃんけんで常勝無敗でもテストの点数で連戦連敗とか虚無感に包まれてしまうだけだ

と思っていたが俺はこの微妙な幸運を感謝するようになっていた

なぜかというとそりゃ美少女と雑談できる上に賭け金はショボいが毎回勝利、中々に自尊心が満たされる

最近のボッチ系主人公は大体が自分からなったスタンスのやつが多いが、俺は望んでボッチになったわけじゃない、ただ興味がないことはやらないし、大好きなゲームやら漫画やらの趣味に全力を尽くしていたら一人になっていただけだ、趣味の時間を削らないなら、無責任で生産性皆無の雑談やちょっとした賭け事はむしろ大歓迎だ、良い暇つぶしになる


そんな脳内日記を書きながらのんびり登校して教室に一番乗り

というのは勘違いだった、先客に女子が一人、この時間帯に人がいるのは珍しい、高校生といえば電話したり複数人で遊んだり夜更かしする行事が盛りだくさんなはず、俺は友達いないし夜更かしないようにゲームは寝る一時間前にはやめているので規則正しい生活を送れていた

結果的に毎日教室一番乗りというのが俺の日常

彼女はまさか俺と同じ「Bの意思」を継ぐ気か?

やめておけこんなもん継いでも独りぼっちの大悲報ワンニュースしか手に入らないし学生時代の敗北者決定だぞ

ボッチの実食べても体がゴムになったり、地震起こせるようになんないし、しかも副作用としてクラスで浮くようになるんだぞ?わかってるのか?遊びで入ってくんじゃねぇよ!ボッチの世界に!

と脳内で色々アホな事を考えていたが女子に自分から積極的に関わるとか自殺行為以外の何者でもないゆえ、意図的に無表情を作り自分の席へ最短ルートを通って座る

いつも通り朝のHRが始まるまで授業の準備をしていたらまたもやイレギュラーなことが起こった


「おはよう〜」

(さて一限は古典…….)

「あれ?」

(二限は数学……)

「ねぇ〜聞いてる?」

「……うん?もしかして俺に言ってる?」

「そうだよ、てか君以外いないじゃん」

そう話しかけてきたのはなんと校内カースト最上位の大和 牡丹だった

セミロングの茶髪にぱっちり開いた目に筋が通ってる鼻、引き締まった腰に豊満な胸と尻、男子学生の夢をありったけかき集めたナイスバディな女子生徒

「えーと、なんか連絡事項でもあるのか?」

遊○王じゃ三○神の中でも最高ランクに位置するラーの如き女が俺みたいなクワガーヘラク○スに話しかけるのはそれ以外ないと思うのだが

ごめんなさいクワガーヘラクレ○は盛った、だってあいつ見た目かっこいいじゃん

「え?連絡事項?そんなのないけど?」

「じゃあなんで俺に話しかけてきたんだ?」

「ただ亀井君と話したいだけだよ?」

これだ、これがこの女の得意技身勝手な誘惑、

無自覚に好意的なセリフを使って勘違いする男をフっていく、罪な女だぜ、まぁ俺のことは眼中にもないことはわかってるのでここは落ち着いて相手をしたい

「え〜と、とりあえずおはよう」

「うんおはよう〜」

…………………

え?これ会話って言えるの?スッゲェ気まずいんですけど、なんかあっちも居心地悪そうだよ、そんなんなるなら話しかけなければいいのに


「あのさ」

「え?なに?」

「いつから宇佐美さんとああいう関係なの?」

「はい?」


え?ああいう関係?ああ〜賭けの話か、なんでそれ知ってんだこいつ?

「一昨日、偶然見ちゃったの、楽しそうに話してるの」


「そうなのか、いつからって宇佐美が転校してきて一週間ぐらいたった昼休みからだな」

「え?そんな早くからなの?どっちから言ったの?」

「えっと、確か俺からだな」

「そうなんだ、亀井君がそんな積極的とは思ってなかった」

「俺もそこまで乗り気じゃなかったが、あいつがジロジロ見るなとかいうから売り言葉に買い言葉で」

「最初の出会いは最悪ってめちゃめちゃベタだね〜ねね、そんなじっくり見てたの?」

「見た目いいしな、目の保養ってやつだ」

「きゃ〜〜ねぇねぇこの話って他の子に話してもいい?」

「話してほしくないかな、そこまで大っぴらにするつもりはないし」

賭け金しょぼいからそこまで問題にならないと思うが念のためだ

「そっか、じゃあこれ二人だけの秘密ね!」

この女は本当に男をドキドキさせるツボを心得ている、気軽に話してきてこんなこと言われたら、男子高校生は絶対勘違いする

俺もワンチャンあるのではと期待しているが行動にうつす気はさらさらない、失敗した時のリスクが高すぎる

「そうしてくれるとありがたい」

「じゃあ秘密にするからさ、もっと宇佐美さんとの話聞かせて?」

「話すだけなら良いぞ」

こんなに興味を示すとは、もしかして大和さんギャンブラーなのか?

「やったぁ」

なんて話してたら他の生徒が入ってきたのでそこで会話を打ち切った

大和さんもそっちの生徒に話しかけに行った

こうして俺の日常イベントに新たなものが追加されるのであった



昼休み突入

俺は宇佐美からの戦利品である50円玉にシャー芯を通して遊んでいた

「…………何か仕組んでるんじゃないでしょうね?」

「おいおい、人聞きが悪いな、第一にお前の登校を邪魔するとかどう仕組めばいいんだよ」

「それはそうなのだけれど、ここまで連勝されると何かあると思うのが自然よね」

「あ〜確かにな〜、でも試験期間になるまでの辛抱じゃないか?」

「どういう意味?」

「お前頭いいからテストの点数も高い、ならテストの点数どっちが高いか賭ればいい、それならほとんど俺の負けだと思うぞ」

「なるほどね、でもそんな待つ気は無いわ、今すぐ勝ちたいのよ」

「じゃあ気長にやってくしかねぇな」

「明日こそ吠え面かかせてやるわ!」

こんな風に話すのも俺が勝ち続けて宇佐美の負けず嫌いを刺激しているからだ、俺に勝ったら宇佐美は俺と雑談しなくなるのかな、それは嫌だな

だがまぁそれは仕方ないことだ、俺だって興味ないことには熱心に取り組まない

人間というのは打算で行動するからな


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雑談賭博 天倉彼方 @taroudati

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