エピローグ
四月。
日本では成人年齢が十八歳に引き下げられた。
十八歳以上の人は自動的に成人になる。
桜が満開になった頃、奏さんの誕生日にお花見をしてから数日が経った。
誕生日プレゼントとしてプレゼントしたのは、仕事でも使いやすそうな文房具にしたんだ。
「ありがとう。美琴、大切に使うね」
うれしそうな顔をしてプレゼントを一時間くらい悩んで良かったなと思っている。
わたしは高校三年生の一年が始まって、一年生がセーラージャケットを着ている。
「いいな~、一年生。あの制服、うらやましすぎる」
「嫉妬するくらいかっこいいじゃん」
「仕方ないよ。うちらは卒業までセーラー服だから」
日菜がとてもうらやましそうに入学式に来た一年生を教室から見ている。
わたしはそれを見て苦笑いしてしまったけど、うちも少し新入生がうらやましくなってしまった。
今年から結城女学院は初等部から高等部までセーラー服からセーラージャケットの制服に変わったんだ。
ジャケットの襟には赤いスカーフかネクタイをすることが決まっているらしい。
それにキュロットとスラックスが追加されて、スカートを履きたくなくても過ごしやすい感じになるのかもしれない。
実際に一年生の数人がスカート以外の制服を着ているのが見えたんだ。
伝統のなかに新しさが共存しているような感じだったんだ。
日菜とは奇跡的に三年連続で同じクラスになったのにびっくりして、その日はそれで終わったんだけど……問題は翌日だった。
クラス替えは外部受験組でそのなかで私大への進学を希望している子が多いように感じる。
一年生の入学式が終わって、三年生はクラス写真の撮影が始まろうとしていたときだった。
「美琴! カメラマンの人、イケメンだって!」
「マジか……どんな人だろうね」
それを話していて、自分のクラスになってからしばらくしたときだ。
スーツ姿の一人のカメラマンが準備をしているのが見えた。
いつもの人ではなくてかなり若い人だったし、それに見覚えのある顔だったことに驚いてしまった。
「うそ。奏さん⁉」
そう叫びそうになったけど、彼のスーツの胸ポケットにわたしがプレゼントしたボールペンがさしてある。
それが現実と受け入れることができずに、クラス写真の撮影が終わってしまったんだ。
学校帰りにLINEを見ると、奏さんからメッセージが入っていたの。
『驚かせてごめんね。今年から異動で学校関係の写真を撮るカメラマンになった』
奏さんが学校にカメラマンとして何回か来るの⁉
最後の一年間は少し予測不可能な感じになってしまったけど、一番楽しい一年になりそうな予感がした。
Restart 須川 庚 @akatuki12
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