不思議な能力を持った少女の大変な一日

 人の不幸な運命を予知し、またそれを修正する能力を持った少女が、憧れの先輩を守らんと人知れず奮闘する物語。

 思春期年代の少女の恋を描いた、まさに恋愛ものといった趣の短編です。
 作中には不思議な能力が登場するのですが、でもその設定そのものはマクガフィン的というか、あくまで色恋のドキドキ感が主軸のお話。
 片想いの相手への秘めた想いや、そのためにひとり奮闘する姿など、恋の甘酸っぱさとある種のコミカルさが同居している感覚が素敵な作品です。

 なんといっても特徴的なのはやはり文体、直接読者に語りかけてくるかのようなその文章です。いわゆる「第四の壁」を超える形というか、一種のメタ表現のもたらす軽妙さのおかげで、物語の読み口そのものが非常にライトな感覚でした。

 ……と思いきや、まったく思いも寄らない衝撃の結末が!
 ネタバレになるため詳しくは触れませんが、もう本当に度肝を抜かれた作品でした。