注釈

引用一覧

※ことわざ・出典不明は除外。



【第1章】


 “あなたの豊かな気高い血が世界中のどんな良薬よりも尊く、効き目の確かな血が、あたしに生命を取り戻させてくれるんだわ”


 ──ゴーチエ『死霊の恋』



 “残酷な恋、不思議な恋でね。わたくしあのままでいったら、命をとられたでしょう。恋には犠牲がつきものなのね。犠牲には血がつきものだわ”


 ──レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』



 “僕は自分の血をしぼって ペリカン鳥のようにあなたに捧げた”

 

 ──ハインリヒ・ハイネ『お別れ』



【2話】


 “足が不自由なのは足の妨げとなるが、意志の妨げとはならない”


 ──エピクテトス『語録』



 “足でも希望でも、可能な歩幅を知るべきである”


 ──エピクテトス『語録』



【第2章】


 “みなぎりわたる大海原の海の水ならこの血をきれいに洗ってくれるか?いいや、この手のほうが逆に、つねりにうねる大海の水を朱に染めて、あの青さを赤一色に変えてしまうだろう”


 ──シェイクスピア『マクベス』



 “現代になって初めて血液は排泄物扱いになった”


 ──エルヴィン・シャルガフ『自然・人間・科学』



 “君があの吸血鬼に接吻すれば

 しかばねはたちどころによみがえってしまうだろうよ!”


 ──ボードレール『吸血鬼』



【8話】


 “自分を自分の力で支えている人こそが最も強い”


 ──セネカ『書簡』

 


【11話】


 “われに純潔と禁欲を与えたまえ”


 ──アウグスティヌス『告白録』



 “決して女を見てはなりませんぞ。いつでも地面を見つめて歩きなされ”


 ──ゴーチエ『死霊の恋』



【12話】


 “手足がおたがいに助け合うのであり、手とか足は、われわれの思考とは別に動く”


 ──モンテーニュ『エセー』



 “両足をしっかりと踏んばって、自分の弱さで地面にばたんと倒れないように注意しているだけでも、力に余る大仕事”


 ──モンテーニュ『エセー』



【第3章】


 “されどなんじ 吸血鬼となりて地を徘徊せんは

 まず墓をあばかれ、

 亡霊の姿して汝の家を探し、

 家族一同の血をことごとく飲みほすべし”


 ──バイロン『異端者』



 “その血は私をいちばん愛してくれたものを

 海のなかから呼びもどすことはできないのだ”


 ──リルケ『立像の歌』



 “私はむなしく涙を流すが 血もこれほどつらくはない あなたのためなら、心から血を流しもしよう”


 ──シェリー『エピサイキディオン』



【16話】


 “高く登ろうと思うなら自分の足を使うことだ。高い所へは他人によって運ばれてはならない”


 ──ニーチェ『ツァラトゥストラ』



【17話】


 “奇妙なことではないか。われわれお互いの血は、一緒にすれば、色も重さも温かさも、まったく区別がつかなくなるものであるのに、それを非常に大きな隔たりがあるもののように扱うとは”


 ──シェイクスピア『終わりよければすべてよし』



【18話】


 “わたしは太陽の下に起こることをすべて見極めたが、見よ、どれも空しく、風を追うようなことであった”


 ──『旧約聖書/伝道の書』



【第4章】


 “あたしはあなたが好き、あなたを神さまから横取りしたい”


 ──ゴーチエ『死霊の恋』



 “吸血鬼が特定の人達に、次第に激しく取りついていくのは恋情によく似ております。いったんこうと思いさだめた目当てのものには、たとえどんな邪魔が起ころうと、実に執念深い忍耐と計略をもっておいかけてまいるのです”


 ──レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』



 “よりよい血がわたしに活力を与え、やきもち焼きの老いが、びんに白いものを散らしてなかったころに”


 ──ウェルギリウス『アエネイス』



【20話】


 “血が燃えあがれば、魂もめったやたらと口に誓わせるもの”


 ──シェイクスピア『ハムレット』



【22話】


 “雨のあとに日が照り、雲一つなく晴れることを予知するのは、いと易いこと”


 ──ウェルギリウス『農耕詩』



【23話】


 “動物の血を飲んで、自分の病気を治そうというのは、まことに空しい希望というしかない”


 ──モンテーニュ『エセー』



【24話】


 “ここでは人々の微笑に短剣が隠されている。血の近い者ほど血の臭いがするぞ”


 ──シェイクスピア『マクベス』



【25話】


 “バンクォー「今夜は雨だな」

刺客1「血の雨よ」”


 ──シェイクスピア『マクベス』



【第5章】


 “知恵は私たちの傷を覆い隠す。つまりそれは、ひそかに血を流す術を私たちに教えてくれるのだ”


 ──エミール・シオラン『悪しき造物主』



 “小鳥の群がるナナカマドは、森の茶褐色に血を流す。

 ときおりそれは雨の後だが、森全体が揺れる。

 まるでまた雨が降り出したように”


 ──フランシス・ジャム『桜草の喪』



 “人の血を理解するのは、たやすくできることではない”


 ──ニーチェ『ツァラトゥストラ』



【29話】


 “偽りの心を隠すのは、偽りの顔しかない”


 ──シェイクスピア『マクベス』



【30話】


 “川一筋で仕切られる滑稽な正義よ。ピレネー山脈のこちら側での真理が、あちら側では誤謬である”


 ──パスカル『パンセ』



【31話】


 “あなた様を愛することにのみ生き甲斐を感じております者に憐れみをおかけください”


 ──ゴルドーニ『抜目のない未亡人』



【32話】


 “パンなしで恋が語れると思いになって?”


 ──アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』



【第6章】


 “ああ!お気の毒な恋人!真赤な、輝くばかり美しいあなたの血を、あたしは飲もうとしているの”


 ──ゴーチエ『死霊の恋』



 “頬は典雅な白さを見せている。しかし、唇は……!それを見た瞬間、身体に悪寒が走った。それは真紅で……人間の血に染まっていた”


 ──カール・ジャコビ『黒の告白』



 “……おおこの苦しみ!「時」は命をくらう、

 そして腹黒い「敵」は僕等の心臓をかじり、

 僕等の失う血をすすってひたすらに肥え太る!”


 ──ボードレール『敵』



【33話】


 “すべては空しい”


 ──『旧約聖書/伝道の書』



 “天も地も海も、ひとまとめにしたすべてでも宇宙に比べれば無に等しい”


 ──ルクレティウス『物の本質について』



 “わたしは人間だ。人間のことでなにひとつわたしに無関係なものはない”


 ──テレンティウス 『自虐者』



 “わたしの思考は、もし座らせておくと眠ってしまう。わたしの精神は、もし足がそれを揺り動かさないと進んでいかない”


 ──モンテーニュ『エセー』



【34話】


 “悪魔でも聖書を引くことができる”


 ──シェイクスピア『ヴェニスの商人』



【35話】


 “孤独は雨のようだ”


 ──リルケ『孤独』



 “客というものは、親切を示してくれた主人のことは、いつまでも忘れずに思い出す”


 ──ホメロス『オデュッセイア』



【第7章】


 “注ぎこんでやろう、わたしの血を、おお愛しい女よ”


 ──ボードレール 『あまりにも陽気な女に』



 “おたがいに疲れてもたれかかっているのに どちらも相手を支えていると思っている

 そしておたがいに役立つことはない ふたりは血に血を重ねるからだ”


 ──リルケ『姉妹』



 “君の心は、なおも生き続け、私の心も、血を流しつつ生き続けなければならぬ”


 ──バイロン『さようなら、妻よ』



【36話】


 “女の愛は食欲に似ている”


 ──シェイクスピア『十二夜』



【39話】


 “人間の肌からいかに逐い払われようとも、人の血は何よりも美味”


 ──ホメロス『イーリアス』



 “わたくしは不可解なスフィンクス”


 ──ボードレール『美』



【40話】


 “人間というやつのいちばんぴったりした定義は、二本足の恩知らずな動物”


 ──ドストエフスキー『地下室の手記』



【41話】


 “私はあなたの全体がほしいのです。あなたが私の好きな人以外に、男の友達も恋人も決しておもちになることはいけないのですよ”


 ──ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』



【42話】


 “愛というものはつねに勝手なものよ。熱烈なら熱烈なほど勝手なものよ。わたくしが嫉妬深いの、ご存知ないでしょ”


 ──レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』



 “誰の心にも多少なりとも嫉妬心はあるものです”


 ──デュマ・フィス『椿姫』



【第8章】


 “その飢えた口にほんの少しばかりの血が入ると、凶暴な野生がもどってくる。そして血の味を思い出して、喉をふくらませ、怒り狂って、恐怖におののく主人にも飛びかかっていこうとする”


 ──ルカヌス『内乱』



 “吸血鬼どもの断食の渇きは

 どこまでも 血が飲まれることを必要とするだろう”


 ──ルネ・シャール/ポール・エリュアール『空白の項』



 “「死人が生きてる人間の血を飲むところを見ましたんで。血はあなた、人間の命でござんしょう」”


 ──マリオン・クロフォード『血こそ命なれば』



【48話】


 “足を濡らさず魚を取りたがる猫のように生きて行こうとおっしゃるのですね”


 ──シェイクスピア『マクベス』



【第9章】


 “あなたをこんなにお愛ししていなかったら、他に恋人をこしらえて、生き血を吸い尽くす決心もできるのですが、あなたという方を知りそめてからは誰も彼も嫌でたまらないのです……”


 ──ゴーチエ『死霊の恋』



 “あなたの心が傷ついていれば、わたくしの心もいっしょに血の出る思いがするのよ”


 ──レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』



 “血を飲んで誤りなき真実をお話するから、どうか穴の傍らを離れ、鋭利の剣を引いて下さらぬか”


 ──ホメロス『オデュッセイア』



【49話】


 “女神がわたしの足を取られたのだ、以前から母親のようにオデュッセウスに付き添って助けてやられる女神がな”


 ──ホメロス『イーリアス』



【50話】


 “女性から受ける被害で、嫉妬ほど悪質なものはない。嫉妬とは、女性の気質のうちでもっとも危険なもの”


 ──モンテーニュ『エセー』



【53話】


 “恋人も結婚で繋ぎ止めておかないと、永遠に去ってしまう恐れがある”


 ──ショーペンハウアー『読書について』



 “御婦人の想像はとても速力がありますからね。あっという間に、賞讃から恋へ、恋から結婚へと飛躍します”


 ──オースティン『高慢と偏見』



【54話】


 “衣をまとわぬ人間は、こんなあわれな、裸の二本足の動物なのだ”


 ──シェイクスピア『リア王』



【55話】


 “自分自身満身創痍で、それで他人の傷を癒そうというのか”


 ──エウリピデス『断片』



 “病人はあれもこれもできないこれもだめだから、喜ばせるのは大変でしょう”


 ──エウリピデス『オレステス』



【第10章】


 “Q.しかし、君はどうして血を飲みたいと思うのかな?

 A.ただ好きだからさ。

 Q.理由はそれだけか?

 A.あぁ……でも、あんたは笑うかもしれないけど、おふくろのそばにいるみたいな気分がする時もあるんだ”


 ──シオドア・スタージョン『きみの血を』



 “おお!吸ってくれ、影よ、恋人よ

 わたしの血の力のかぎり、

 わたしが死のまどろみに落ちて

 愛することができるまで”


 ──ノヴァーリス『夜の賛歌』



 “獅子の胸も両の頬も血に濡れて見るも凄まじい……その獅子の如く、足から上は手に至るまで血に濡れている”


 ──ホメロス『オデュッセイア』



【第11章】


 “まだここに血の臭いが。アラビア中の香水もこの小さな手をかぐわしくしてくれない。ああ!ああ!ああ!”


 ──シェイクスピア『マクベス』



 “愛のなかに、忘却の眠りを求めもしたが、

 その愛とても、かの酷たらしい娘どもに僕の血を

 啜らせるため作られた針のむしろにすぎなかった!”


 ──ボードレール『血の泉』



 “形のよいそなたの腿も足も、また美しいくるぶしの上までも血に染まったぞ”


 ──ホメロス『イーリアス』



【66話】


 “良い靴は足の形の良さを露わす”


 ──アリストン『古ストア派断片集』



 “親の血を吸うあのペリカン娘を生んだのは、この肉体だからな”


 ──シェイクスピア『リア王』



【67話】


 “支配しようと望む女は、道を知っていて目もよく見える人についていくよりは、盲人の道案内をする方がよい”


 ──プルタルコス『倫理論集』



【68話】


 “足の不自由な人と暮らしていると、自分も足を引きずるようになる”


 ──プルタルコス『倫理論集』



【第12章】


 “血を呼ぶ、か。そうだ、血が血を呼ぶのだ”


 ──シェイクスピア『マクベス』



 “彼女の愛撫の手にさわられて、グーの音も出ずに生血を提供する犠牲者たち……彼女の恐ろしい抱擁のうちに死んでいく犠牲者たちは、そのまま今度は、彼ら自身がかわって他の人間を餌食にする吸血鬼とならなければならないのである”


 ──F・G・ローリング『サラの墓』



 “悲劇において血が流れ、人が死ぬことは決して必要なことではない”


 ──ラシーヌ『ベレニス』



【70話】


 “妻は自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは夫である。夫も同様に自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは妻である”


 ──『新約聖書/コリント人への第一の手紙』



 “神はある種の快楽を禁じておいでになる。しかし、神と折り合いをつける道がないわけじゃありません”


 ──モリエール『タルチュフ』



【71話】


 “あなたなしでは生きられないほど愛しているの、分かっている?”


 ──ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』



【72話】


 “あの醜怪なドイツのお化け、吸血鬼です”


 ──シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』



【73話】


 “人間嫉妬せずにいられることなどあるものか?”


 ──ゴルドーニ『抜け目のない未亡人』



 “私の血を飲む者は、いつも私の内におり、私もまたいつもその人の内にいる”


 ──『新約聖書/ヨハネによる福音書』



 “他の人のことをまったく考えないというのが、恋の真髄”


 ──ジェイン・オースティン『高慢と偏見』



【74話】


 “女の心配と愛はつねに連れ添うもの。どちらもないか、あればどちらも極端に走ります。わたくしの愛がどんなに深いか、あなた様もよくご存知のはずでございます”


 ──シェイクスピア『ハムレット』



【75話】


 “船をひとつの錨に繋げてはならないし、人生をひとつの希望に繋げてもならない”


 ──ストバイオス『精華集』



 “そんなふうにあっちこっちするのは、心が病んでいることを示しています”


 ──セネカ『書簡』



【77話】


 “あなたさえ、おさしつかえがなければ、わたしはあなたの隣人にもなり、看護婦にもなり、家政婦にもなります”


 ──シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』



 “あなたに本を読んであげたり、散歩のお供をしたり、あなたのおそばに坐ったり、あなたのお世話をしたり、あなたの目となり手となりますわ”


 ──シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』



 “病んで愛される秋よ お前は死ぬだろう ばら園に嵐が荒ぶころ 果樹園に雪がつもるころ”


 ──アポリネール『アルコール』



【78話】


 “あなたがわたしのすべてだもの。だからわたしがあなたのすべてになってあげる。わたしがあなたの家族になり、祖国になってあげる。あなたを大切にします、いつまでも愛してますから”


 ──ギュスターヴ・フローベール『ボヴァリー夫人』



【最終章】


 “この眼の魅力から逃れることのできる者が、誰かいるだろうか。

 ……その唇は血潮に彩られ、微笑んでいる。”


 ──メリメ『吸血鬼』



 “かれらの血は雨の如く時の根元を流れる”


 ──A・スウィンバーン『美神頌』



 “彼の血は、見た目にも穏やかに流れるようであった。

 あぁ、罪に輝くことなく、つねに氷のごとく滑らかに

 血が流れるのならば、幸せであったろうに。”


 ──バイロン『ララ』



【81話】


 “人が独りでいるのはよくない”


 ──『旧約聖書/創世記』



【84話】


 “もし君が同時に継母と実母を持っているとしたら、君は前者に仕えはするであろうが、しかし君が絶えずもどって行くのは実母のもとであろう”


 ──マルクス・アウレリウス『自省録』



【86話】


 “私は愛に病んでいるのです”


 ──『旧約聖書/雅歌』



 “この歩みがどちらへ向かおうと足音を聞くな”


 ──シェイクスピア『マクベス』



 “病気を祓うのに、もっぱらこれを別人に感染させるという呪術が存在する”


 ──モンテーニュ『エセー』



【87話】


 “あなた様の御愛情をしかと確かめられぬ限りは立ちあがるわけにはまいりませぬ”


 ──ゴルドーニ『抜目のない未亡人』



【88話】


 “この世の成り行きを見るのに目などいらない”


 ──シェイクスピア『リア王』

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雨籠もりの吸血嬢 園山制作所 @sonoyama

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