エピローグ それでも彼女は、蛍光ピンクを履き続ける
桜舞い散る四月の都内。
俺は専門学校を無事に卒業し、都内の
今日は都内の新居への引っ越し日。
無事に荷物の搬入を終え、段ボールを片付け終えた頃には、既に陽は西に傾きはじめていた。
「うしっ、やっと終わった……」
ようやく荷物の整理が終わって一息ついていると、キッチンの方から足音が聞こえてくる。
「荷物整理終わった?」
そこには、当たり前のようにエプロン姿に身を包んだ愛しの彼女である華がいた。
「あぁ、やっと終わった」
「お疲れ様」
俺は立ち上がり、ねぎらいの言葉を掛けてくれる華へと向かい合うと、ふっと笑みを浮かべた。
「その……これからよろしく、華」
「うん、こちらこそよろしくね!」
そう、俺たちは半年間という遠距離恋愛を乗り切り、晴れて今日から同棲することになったのだ。
俺が都内で働くことが決まったのを伝えてから、華が物件探しやら手続きを全てやってくれて、こうして都内へ来る頃には、もう荷物を搬入するだけという状態まで準備してくれていたのだ。
それほどに、俺との同棲を華は心待ちにしていたのだろう。
「夜ご飯の準備できたから、一緒に食べよ!」
「おっ悪いな、サンキュー」
とまあ、こんな感じでぬるりと同棲生活が始まり、二人で机を
「そういえば、大学の友達には言ったのか?」
「ん、何を?」
「彼氏と同棲するって話」
「うん! みんなおめでとうって言ってくれたよ! あっ、でも
俺と華が付き合い始めても、まだあの金髪男は華のことを諦めていないらしい。
まあ、華から話を聞くに悪い奴ではなさそうだから、次の恋へ進んでくれることを願うばかりだ。
そんなことを考えつつ、華の作ってくれた味噌汁を
「ところでさ
「うん、そうだな」
「それでね……そのぉ……」
「何だよ? はっきり言ってくれ。せっかくの同棲初日なんだ。前みたいに食い違いが起こるのはごめんだぞ」
俺と華は付き合い始めるまでの失敗を教訓にして、付き合い始めてからはお互い思っている気持ちをはっきり伝えることを心掛けてきた。
もちろん対面ではなく、通話やメッセージでの伝えることが大半だったけど、今日からは毎日顔を合わせることになるのだ。何か言っておきたいことがあるなら先に伝えておいてくれた方が助かるというもの。
「そのぉ……この後なんだけどさ」
「おう」
「……やっぱり何でもない!」
「いや待て。流石にそこでそれはダメだろ。はっきり言ってくれって。俺は華にどんなこと言われても受け止めるからさ」
「……本当に?」
「あぁ、本当だよ」
俺が頷くと、華はおもむろに椅子から立ち上がる。
そしてなにを思ったのか、そのまま履いているフレアスカートの裾を掴むと、その場でバッと上にたくし上げた。
「なっ……」
唖然としてしまうのも無理はない。
俺の眼前に映った景色は、綺麗な脚の先に輝く蛍光ピンクのパンツだったのだから。
パッと恥ずかしそうにスカートを下ろして、顔を真っ赤にした華がちらりと俺の様子を窺ってくる。
「分かった?」
そう尋ねてくる華に対して、俺は頭をガシガシと掻きながら視線を逸らす。
「あぁ……そこまでされたら分かるっての」
まったくこいつは、どうしてそういう日に限って蛍光ピンクのパンツを履くのだか……。
まっ、別に蛍光ピンクのパンツを履いていようが、結局その後脱がっ――いや、これ以上考えるのはやめておこう。
俺が咳ばらいをして再び味噌汁を啜る姿を、華はにこりと嬉しそうに微笑みながら眺めてくるのであった。
~完~
あとがき
最後までお読みいただきありがとうございました。
この作品は、深夜テンションのノリで執筆し始めちゃった作品なので、どこをゴールにすればいいのか曖昧なまま書き続けてしまいました。
読者の皆様には色々と推測やら考察をしていただき大変うれしかったのですが、淡泊な終わり方になってしまった事をあとがきの場を借りてお詫びいたします。
まあ端的に申し上げますと、友人が実際に体験した現実のお話を改変して、ハッピーエンドにしてあげようというのがこの作品を作る上でのコンセプトでしたので、私としてはそのミッションを成し遂げられたので満足しております!
そして、近日新作を公開します。
最近話題のアレがテーマの作品ですよ✨
イチャラブ要素多めのラブコメ作品になっていますので、どうか楽しみに待っていただけると嬉しいです。
というわけで、またお会いしましょう!
さばりん
朝チュンした女の子は、蛍光ピンクのパンツでした さばりん @c_sabarin
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