2. さいごのたたかい

時は遡り、舞台は魔王の城最上階


「遂に来たか勇者よ、待ちくたびれたぞ」

不敵な笑みを浮かべて魔王は言う。

「俺たちがお前を倒し、この世界を闇から救うのだ!」

魔王の威厳に一瞬気圧されそうになるものの、勇者は自らに喝を入れるように言い放つ。

しかし、その勇者と御一行の目は虚ろだ。

旅の中での多くの戦闘で命を奪ってきた精神状態。

そして、休みなく戦い続けた挙句、薬草漬けになった満身創痍の身体。

立ち寄った村の村人たち皆からの激励という名のプレッシャーに圧し潰されそうになりながらも歩みを進めてきた。

そんな彼らに覇気は無い。

彼らにあるものは、ただ目の前の強大な悪を討ち亡ぼすという目的のみ。


最期の戦いの為、勇者達は己の身体に鞭を打ち剣を振る。

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勇者が先か、魔王が先か 釈納 @leonelsyna

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