大宮物語〜神心破壊伝〜

@Fukudayukihiko

第1話

時は20XX年、世界中で突然変異が起こり、姿形種族、全て

が変化し、人間は食物連鎖の頂点から引き摺り下ろされた


そして変異した生物は基本凶暴で人間を次々と襲い

政府が手に負えないレベルになり、全世界で法律も機能せず

自分が生きることにただただ必死だった。


そんな「出来事」から数千年が経ち、人類は異生物(突然変異した生物)が共通して苦手なものが判明した、それは「蜂蜜」

人間は蜂蜜を異生物避けにしたり、長い時間をかけて作った壁などに塗りたくり人間の住処を

新たに築いた。


そして新しい政府もでき、壁の外を探索、そして

異生物の生態を調べたりする「観索(かんさく)」という職業ができた。

そして人類は現在の

日本、中国、オーストラリア、ポーランド、フランス

に巨大な集落を建てていた。


そして五つの集落は敵対するようになった。


これはそんな5つの中の集落の一つ、日本の人間の物語である。




集落の少年「大宮 金井」今年で10歳の2月生まれ

明るい少年だ、親の身分は低く

学校にも行けない、毎日味の薄いご飯を食べる

不自由な生活を送っている。


「あー、暇だー…」


「何もすることないって辛いの?めんどくさい学校行くより

いいじゃない?」


大宮の幼馴染、「宮岸 篠」

父は医者の女の子、12歳、5月生まれ

大宮とは対照的に、親がお金持ちで

学校にも行けている、ご飯は学校でのテストの

点数が低かった場合味の薄い汁物を出される

本人は息苦しく感じているが、俺は正直羨ましい。


「そんなことないだろ、一日中家でゴロゴロ、親父は

観索の仕事でどっか行ってるし母ちゃんは仕事ばっかだし

宮岸みたいな家族が遊んでくれる生活、羨ましいよ」


「でも、お母さんたちに学校に通って

医者になれ、医者にならないのなら

この家から出て行けって

私医者になんかなりたくないのに、それに夜まで勉強

させられるし、大宮みたいにゴロゴロしたいよ」


やっぱり、宮岸も自分の生活に不満を抱いてるみたいだ

でも、俺は自分の家か宮岸の家、どっちを選ぶって言われたら

即答で宮岸の家って答えるのに…それに、

俺の母ちゃんたちのはお給料が少ないから


偉い人…宮岸の親とかに沢山お金を取られるし

お金を払わないと行くことのできない

学校にも行けないし、実際に宮岸の親を恨んでいる

だけど宮岸と疎遠にはなりたくないし、複雑な気持ちだ。


俺も学校さえ行ければ、頭が良くなって、それに

こんな暇で暇で苦しい生活からもおさらばなのになぁ



「なぁ、宮岸、お前18歳なったらなんの仕事すんの?

やっぱ親父のコネで医者?」


宮岸はその発言を聞き、あー…と小さい声で呟き、次にこう言った。

「コネ……まあ父さんめっちゃあと継がせたがってるからな…

 てかそれいう大宮は何になるの」


「おれか?おれはな、親父みたいに

かっこいい「観索」になることだ

親父はそんなにかっこよくないって言ってるけど

俺は「観索」になるんだ!」



「あー、あんたのお父さん有名な観索なんだっけ、だから

お父さんに憧れてるんでしょ?」


図星をつかれたように、俺は言った。

「そうだ!親父はかっこいいんだ!それより宮岸は

将来の夢なんなんだよ?」


「私はね…うーん、わ、私も「観索」かなぁ、やっぱり」


「よし、じゃあ宮岸、一緒に観索になろう!あ、宮岸、抜け駆けはきんしだ!俺のたんじょうびまで

待ってくれよ!」


「…うん!」


そんな会話から8年後の朝4時

大宮は18歳になり、宮岸も20歳になった。



「宮岸ー」

俺は宮岸の家のドアをドン、ドンと叩き

名前を呼んだ


「ちょっと待ってー」


ドタドタと音がする。

階段を降りているんだ、二階なんて

お金持ちだなー、と相変わらず

羨ましく思ってしまう


「誕生日おめでとう、大宮、それとあの時の約束

 今日だね」


「ごめんな、2年も待ってもらって、親うるさかったろ」


宮岸は苦笑いしながら言ってきた。

「まぁ確かにうるさかったね、でも…」

宮岸は赤面になりもじもじし出した。


「よし、じゃあお前、もう免許証持ってんだろ?宮岸」


「ん、そりゃもちろん、親には秘密だけどね…」


観索になるには免許が必要で多少の金が必要だが

大宮は宮岸に足りない分のお金を出してくれてなんとか

観索になることができた。


何はともあれ、この壁に囲まれたヒマな生活とは

おさらばって訳だ、それに外の世界に行くの

正直言って凄く楽しみだ


「ごめんって凱庵ー!」


どこからか声が聞こえてきた。

とても若い声でそしてうるさい


「痛っ!」


その声の持ち主がぶつかってきた。

そいつはツーブロックの茶髪で

目は黄色で、2mくらいの身長があり

日本人じゃないようだった。


「あ、ごめん!それじゃ俺急いでるから!」


膝を擦りむいた、まあいいや、一刻も早く

俺はこの壁の外に出たいんだ。

そうして数分、壁に向かってずっと歩いて

いた。


ん?


俺のお守りがない、親父が観索になった記念

に作ってもらったお守りがない!


「大宮、どうしたの?」


「お守りがないんだ、親父に作ってもらった、お守りが」


「え!大変じゃない、さっきぶつかった時

落としたんだよきっと」


くっそ、どこでぶつかったか全然覚えていない、どうしよう。


「おーい!」


後ろからさっきぶつかった男の声がした。


「これ…あんたのだろ?ごめんな…」


そいつは俺のお守りを片手に息切れしながら

来ていた。


「あんたとぶつかったあと、免許証落とした

の気づいて戻ったんだ。

そしたらこのお守りと一緒に転がってた

から…」


その男はもう片方の手にも観索の免許証を

もっていた。観索の免許証は菱形(◆)

の形をしているのですぐにわかった。


「…その免許証、お前も観索なのか

そういえばあんたなんであんな急いで

たんだ?」


「え?ああ!!そうだ!今日の13時までに

壁の外出ねえと次開くの20日後なんだ!」


俺と宮岸は顔を見合わせた。


「今まだ10時だぞ、壁の外に出る門まで

もう30分くらいで着くぞ?」


「え?」


その男は近くの時計台を目を細くして

じーっと見始めた。


「あー…やっちまったな、こりゃあ」


どうやらこの男は時間を間違えていたらしい

なんとも間抜けな奴だ。


「あはは…あの、良ければ一緒に行きません?

私達も観索なんで今日出る予定なんです」


宮岸は一緒に行くことを提案した。

その男は宮岸の提案を受け入れ、

会話をしながら門へと向かっていった。

意外と会話は弾んだ。その男はコミュ力が

凄く高く俺はあまり喋る事ができなかった。


「着きましたね」


「はい、ありがとうございました!」


男がお礼をすると俺は深い溜息を吐き

安心した。

やっと終わった……あの男のせいで宮岸と

話すことができなかったし…単純にあの男

が苦手だった…親からも言われていたが

こういう陰の性格を治さないとまずい…


「大宮、どの土地に行くんだっけ…」


観索は自分の行く土地を決めることができる

俺と宮岸は確かポーランドの方だった。


「確かポーランドだったよ」


「そっか、じゃあ行こうか」


門の前にいる管理人に

行く土地を説明して免許証を見せた。

そしてその管理人が言うには

「船はあと10分後出航するから早めに

乗れ」らしいので、俺と宮岸は

船乗り場に向かった。


「宮岸、あともうちょっとだ!」


「タイムリミット?それとも船乗り場まで?」



「両方!!」


初めて見る船はカッコよく、そして

美しいと感じたが制限時間があるため

のんびり眺める時間はなかった。


「すみません!乗ります!乗ります!」


なんとか出航する前に乗ることができた。


…はあ…はあ…


初めてこんなに運動をした。

呼吸している感覚がしない、本当に

死ぬんじゃないかと思った。

だが、この船がポーランドにつけば


俺の旅が始まる…


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